日本では消費者物価指数が10カ月連続で上昇、「物価高」が長らく話題になっているが、お隣・韓国では日本以上に急激な物価上昇が問題になっている。韓国の外食費は安いとされてきたが、いまやソウルでは少し前の2倍。生鮮食品の値段や不動産、公共交通機関の運賃など、さまざまなものの値段が軒並み上がり続けているのだ。(韓国在住ライター 田中美蘭)
毎年7月の中旬になると、韓国では「初伏(チョボク)」と言って、参鶏湯(サムゲタン)を食べる日がある。ちょうど日本で「土用の丑の日」にうなぎを食べるような感じだ。今年は7月16日がその日であり、各地の参鶏湯専門店が大賑わいであった。筆者も家族で参鶏湯を食べに行き、大きく価格が値上がっていることを実感させられた。
現在の参鶏湯一人前の一般的な値段はソウルで1万9000ウォン(日本円で約1990円)釜山で1万6000ウォン(約1680円)程度。この他、烏骨鶏やアワビが入った特別メニューになると2万ウォン(約2100円)を優に超えたりする。
かつてはソウルの明洞や江南(カンナム)といった一等地の場合、参鶏湯は1万ウォン(約1050円)程度で「高い」部類であり、郊外の店や地方都市では8000ウォン(約840円)も出せばお腹いっぱいに食べられたものだ。それが、ここ数年で参鶏湯も値上がりを続け、「高級料理」になりつつある。
日本で東京と地方で物価に多少の差異があるように、ソウルと釜山でも物価は異なる。今、韓国では都市部も地方も物価の上昇に歯止めがかからず、外食やレジャーを気軽に楽しむというわけにはいかなくなりつつある。しかしこれはまだ序章であり、今後まずます物価高騰により生活が圧迫されていくことが懸念される。