壁を超えたら人生で一番幸せな20年が待っていると説く『80歳の壁』が話題になっている今、ぜひ参考にしたいのが、元会社員で『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』など数々のヒット作で悲喜こもごもの人生模様を描いてきた漫画家・弘兼憲史氏の著書『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)だ。弘兼氏のさまざまな経験・知見をもとに、死ぬまで上機嫌に人生を謳歌するコツを説いている。
現役世代も、いずれ訪れる70代、80代を見据えて生きることは有益だ。コロナ禍で「いつ死んでもおかしくない」という状況を目の当たりにして、どのように「今を生きる」かは、世代を問わず、誰にとっても大事な課題なのだ。人生には悩みもあれば、不満もあるが、それでも人生を楽しむには“考え方のコツ”が要る。本書には、そのヒントが満載だ。
※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』より一部を抜粋・編集したものです。
住む場所を変えてみる
【前回】からの続き
生活を縮小する一つの手段として、住む場所を変えるという選択肢もあります。
ライフステージとともに、住むのに適した家は変化していきます。独身時代は6畳一間のアパートで生活していた人が、結婚すると2DKの部屋に引っ越し、子どもができるといよいよマンションの購入を検討したり、一戸建てを構えたりします。
そうやって、だんだんと大きな家に住んでいても、子どもが独立して夫婦2人の生活に戻ると、かえって広い部屋が不便に感じられるようにもなります。使わない部屋があっても、定期的に掃除をする必要があったりして面倒。固定資産税もかかりますし、経年劣化でメンテナンスにかかる費用も軽視できません。
持ち家を手放すという選択
また、地価の高い立地だったら、将来的に相続税の負担を子どもに負わせることにもなります。こういった諸事情を考えてみると、持ち家を売却して、新婚時代に暮らしていたような広さの中古マンションやアパートに引っ越すのも選択肢となり得るのです。
部屋数が少なくなれば、必然的にモノを減らすことにもつながります。持ち家の売却益から小さな中古マンションを購入したりすれば、残ったお金を老後資金にあてられるでしょう。
借家の場合、高齢者は賃貸契約が難しいという問題はあります。高齢者は一般的に収入が少なく、健康上の不安もあるため、大家さんが入居を敬遠してしまう傾向は否定できません。
ただ、昨今は急速に高齢化が加速し、人口減少も始まっていますから、大家さんも贅沢をいってはいられません。実際、徐々に高齢者が賃貸住宅に住むハードルは下がっていくという予想もあります。
“生活縮小の手段”としての住宅問題
企業や自治体によっては、高齢者の住宅支援サービスを設けているケースもあるので、情報を集めて吟味していけばよい選択肢が見えてくるはずです。
「長年愛着のある家を手放したくない」「今さら引っ越すのも心理的な負担が大きい」という人は、一戸建ての住宅をリフォームして賃貸併用住宅にする方法だってあります。この場合、リノベーション(大規模改修)の費用負担や安定した家賃収入が得られるかなどの問題が発生します。
住まいに関しては唯一絶対の正解はありませんが、生活の縮小の一環として考えてみてください。
※本稿は、『死ぬまで上機嫌。』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。ぜひチェックしてみてください。