「そりゃ不安になるわ…」考えすぎる人の“NGな日常”
誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)など、33万部突破シリーズの原点となった『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!

不安の正体は「気になること」の集合体
今日は「不安の正体」についてお話したいと思います。
私たちが日常的に使う「不安」という言葉は、実はさまざまな状態をひとまとめにしています。
落ち着かなくてそわそわする身体的な状態から、まだ起きていないことへの心配や強迫的な思考まで、その中身は人それぞれ異なります。
例えば、パニック障害の方が感じる「予期不安」は、発作が起きるかもしれないという未来への恐れです。
一方で、強迫性障害の方の不安は、「鍵をかけたかな」という考えが頭から離れない状態を指します。同じ「不安」でも、その性質はまったく違うものなのです。
頭の中に湧いてくる「気になること」をどう減らすか
私は不安を「頭の中に湧いてくる気になること」と捉えています。
本来なら考えなくてもよい、やらなくてもよい予想や心配事が次々と浮かんでくる状態。これが不安の正体だと思うのです。
私がクリニックを開業したときの体験を振り返ると、やることが山積みで気になることが無数にありました。
患者さんが来てくれるか、スタッフが辞めないか、設備の故障はないか――。しかし、よく考えてみると、同時にできることは一つだけなのです。
「今」に集中することで不安は消える
頭をお暇にしない――これが私の提案する不安対策の根本です。今やるべきことに集中していれば、余計な心配事は湧いてこないのです。
人間は今のことに集中していないと、漠然と違うことを考えて「大丈夫かな」と不安を探し始めます。そして探していると、何かしらの不安を見つけてしまうのです。
具体的な実践方法
不安が湧いてこないよう、頭をお暇にしないためにはどうすればいいのでしょうか? 大きくは次の3つがあります。
1. 今日やることを明確に決める
スケジュールをしっかり組み、優先順位を明確にします。
2. 単位時間で1つのことに集中する
書類仕事をしながら患者さんを診察することはできません。今この時間は何をする時間なのかを明確にします。
3. 変なことを考え始めたら行動を切り替える
不安な考えが浮かんだら、今やっていることを中断して別の行動を始めます。
古来から語り継がれる智慧と共通する考え方
興味深いことに、この「今に集中する」という考え方は、仏教の禅思想やマインドフルネスと本質的に同じです。
呼吸に集中したり、食事を味わったりすることで、頭をお暇にしない状態を作り出しています。
これは決して新しい発見ではありません。人類が長い間、不安との付き合い方として見つけてきた根本的な解決法なのです。
考え事だけを先に進ませない工夫
不安を減らすためには、考え事だけを先に進ませないことが重要です。体を動かさずに頭だけで考えている状態は、不安を生み出しやすくします。
気持ちを今のことに切り替える即効性のある方法としては、
「環境を変える」「行動を変える」「今変なこと考えてる、やめよう」と自分に言い聞かせる、「素直に休む」
ということもポイントになります。
生きることの本質としての「今」
不安にならないための方法は、頭の中の気になることを減らすことです。そのためには、今やっていることに集中し、頭を暇にしないこと。これが不安対策の根本なのです。
この考え方は、単なるテクニックではなく、生きることの本質に関わる大切な智慧だと私は考えています。
今この瞬間に集中することで、不安という重荷から少しずつ解放されていけるのです。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。