「スマホを見ていたらあっという間に2時間経ってた…」「あっという間に1日が過ぎていく」。スマホやSNSが蔓延っている今、そう感じたことはありませんか?
『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』の発売を記念して、年間200冊を手がけることもあるほど超人気かつ超多忙なデザイナーであり、著書『時間のデザイン』も刊行された井上新八さんに、特別に話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

Q.好きなことだから幸せなはずなのに、ふと疲れを感じてしまいます。
推し活が生きがいです。でも、ふとした時に「他の人に置いていかれないように、推しの新情報をずっと追わなきゃ」と思い、疲れを感じてしまいます。推し活をするうえで疲弊しないために意識した方がいいことはありますか?
「いいときだけ」のファンになる
井上新八氏(以下、井上氏) 『とっぱらう』に「いいときだけ」のファンになるという戦術があると思います。
スポーツファンは時間だけじゃなく、感情エネルギーも使う。
試合観戦はプレーオフなどの特別なときだけにして、負けが込んでいるときはニュースを読まない。ほかのことに時間をかけたって、チームのファンでいることはできる。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より
ぼくもこのスタンスに近いですね。
毎日70近い習慣を続けられているのは、それぞれに「5分程度でできること」くらいしか執着していないからだと思うんです。
例えば、ぼくは「どうぶつの森」に登場する「ララミー」というキャラクターが好きなんですけど、1日5分だけしか話さないですし、5分すら会わないときもありますからね。
しかも、グッズがほぼ売っていないので、推しなのにお金の落としようがない(笑)。
ムダだと思うことは、小さく始める
井上氏 ぼくがしている他の習慣でいえば、「映画を観る」ことも推し活に近いのかもしれません。
月に20本くらい映画館で映画を観るので、けっこう課金してる方だと思います。
でも無限にお金を使えるわけじゃない。だから、1日に映画1本観るだけとか、たまに好きな作品のBlu-rayを買うくらいです。
ものすごくマニアックに集めたりはしていません。これは僕がそもそも物欲が少ないタイプなのかもしれないですが……。
ただ、ムダなことに没頭する時間って、実は一番楽しいと思うんですよ。
推し活も、やりすぎなければ「良い没頭」になる。
「好きだけど、疲れる」と感じたら、「推しの動画を5分だけ観る」とか、「新しい投稿に1つだけ“いいね”する」など、行動を小さくするのがコツです。
そうやって“好き”を小さく切り出して楽しむことで、疲れずに心を満たすことができると思います。
依存にならない範囲で、ムダだと思う時間を味方にするのが、ぼくの考える“健全な推し活”です。

1973年、東京生まれ。和光大学在学中に独学でブックデザイン業を始める。大学卒業後は新聞社で編集者として働き、2001年にフリーランスのブックデザイナーとして独立。年間200冊近くの本をデザインしている。担当した書籍は『覚悟の磨き方』『自分とか、ないから。』(サンクチュアリ出版)『運動脳』(サンマーク出版)など多数。著書の最新刊は『時間のデザイン』(サンクチュアリ出版)。
note(https://note.com/shimpachi88)
X(https://x.com/shimpachi)