中国の電子商取引大手アリババグループ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は、フィンテック企業アント・グループの支配権を手放す計画だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。中国当局から1年余りにわたって激しい圧力にさらされる中、アリババグループと同社を切り離す取り組みの一環とみられる。アントは340億ドル(約4兆6100億円)超の規模の新規株式公開(IPO)の準備を進めていたが、2020年に中国当局によって土壇場で中止に追い込まれた。また、当局はアントに対し、中国人民銀行(中央銀行)の監督下にある金融持ち株会社への移行を迫った。中国でもっとも著名な起業家の1人であるマー氏は、その影響力と同氏が設立した企業の影響力を弱めようとしているとみられる中国政府の標的にされている。同氏はアントをアリババから分離した10年以上前からアントを率いてきた。10億人超のユーザーを抱える決済アプリ「アリペイ(支付宝)」などを提供する同社は、上場すれば時価総額は3000億ドルを超えるとみられていた。