ティホン・ドジャドコ氏は、午後8時のニュース番組の冒頭、ロシアにかつて存在していた独立系テレビ局「TVレイン」の視聴者に語りかけていた。これまで数え切れないほど繰り返してきたお決まりのセリフだ。「モスクワは20時ちょうどです。これから2時間、本日の重要ニュースをお伝えします」だが、TVレインの編集長であるドジャドコ氏は今、モスクワではなくラトビアの首都リガにいる。ロシア当局によって放送終了を余儀なくされてから4カ月余りを経て、先週放送再開にこぎ着けた。ロシア当局はウクライナ侵攻後、ロシア軍の活動について「偽情報」を拡散したとみなせば、最大15年の禁錮刑を科す法律を制定した。ロシア政府のディミトリ・ペスコフ報道官はその際、「わが国に仕掛けられた前代未聞の情報戦」を理由に、新法が必要だと主張していた。