ウクライナ東部への侵攻を続けるロシア軍が数カ月にわたり足踏みする中、焦点は戦況を決定させる可能性がある南部へと移りつつある。ウクライナはロシア軍の執拗(しつよう)な侵攻を阻止するため、東部では米国の高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」などを展開。弾薬庫や司令部、防空システムなどを破壊し、ロシア軍による前線への物資供給を制限したとみられる。ウクライナは今後、欧米から供与されたこれら兵器を使用し、南部の港湾都市ヘルソンの奪還を目指して反撃に出るという。ヘルソンはロシア軍が占拠している都市としては人口が最も多いほか、最初に陥落した都市でもあることから、ウクライナ政府にとって戦略面で大きな意味を持つ。またヘルソンは港湾都市としてウクライナ側にとって経済的重要性が高く、奪還すればオデッサに向けた南部沿岸へのロシア軍のアクセスを遮断できることになる。