イスラエルの研究の中で、重症化予防効果に関しては約2か月経過しても80%以上の高い効果が期待できた、という結果になっています。

 そもそも、現状の4回目接種の対象者は、3回目接種が5か月以上経過した

① 60歳以上の方
② 18~60歳で、糖尿病や心臓病などの「基礎疾患」をお持ちの方
③ 病院や高齢者施設の従事者

 であり、特に①②の方にとってはリスクがあるため、重症化しないことが最も重要になります。対象者が接種する意義は大いにあります。

 また、すでにコロナにり患した人にとっても、今回流行しているBA.5は免疫を回避する特性があるとされていますし、当然「1回かかったらならない」訳ではないので、ワクチンで補強しておいた方が安心でしょう。

 まとめると、4回目接種に関しては

・「発症」予防効果が期待できるスパンが短いので、感染が拡大している今こそ接種した方が意義がある
・「重症化」予防効果は依然期待できるので、対象となる高齢者や基礎疾患のある人は接種しておいた方が良い

 このように捉えていただければ良いでしょう。これだけ感染が増えれば、重症化「率」が低いウイルスだとしても、重症化「数」は増えます。

 1万人の1%は100人ですが、100万人の1%は1万人です。「率」が低いからといって「自分だけは大丈夫」と考えていると手痛い目を見ることになる場合もありますので、できる対策はしておきましょう。

【出典】
※1 Sivan Gazit,et al. Short term, relative effectiveness of four doses versus three doses of BNT162b2 vaccine in people aged 60 years and older in Israel: retrospective, test negative, case-control study. BMJ. 2022 May 24;377.