施工不良問題で大打撃を受けたアパート賃貸大手のレオパレス21。米投資ファンドの支援で再建が進み、株価も底値圏を脱しつつある。だが、6月末に開かれた株主総会は怒号やヤジが飛び交い、激しく大荒れとなった。入手した音声記録を基に総会の一部始終を明らかにするとともに、同社が抱える奇妙なトラブルも詳報する。(ジャーナリスト 千波鴻一)
怒号に包まれるレオパレス21の総会
株価低迷から脱するも「また一難」
「今からご質問をお受けいたします、ご質問のある方はいかがでございましょうか」と、議長が宣言した途端、会場は怒号に包まれてしまった。
「はーい、はい、はい、はい……」
「質問させろよー、おらー」
「一番最初に手、挙げてんじゃねーかよ、おい」
「何とかしろー、このやろー……」
「マイク、(電源)入れろよー、マイクー」
「おい、おっさん、何言ってんだー、こらー」
「ふざけんな」
「入れろー、マイク……」
「お前ら、うるせーんだよ」
たまらず議長は「不規則発言はおやめください。株主様、着席してください」と、混乱を収拾しようと試みるものの、その声はむなしく響くばかり。
6月29日に開かれた賃貸アパート大手、レオパレス21の株主総会は、まるで「総会屋」の全盛期だった昭和にタイムスリップしたかのようだった。
今回、入手した総会の音声記録には、混乱を目的としたかのような十数人の株主が声を張り上げている様子が克明に残されている。
総会に出席していた株主が言う。
「中野区にある本社の地下で午前10時から始まった株主総会には、いわゆるレオパレスのオーナーさんを含め、株主が100人ほど出席していました。その中に、大声で怒鳴ったり、ヤジったりする株主が15人くらい、混ざっていたのです」
続けて、「明らかに普通の株主の方とは雰囲気が違うので、一目瞭然。彼らがヤジったりするものだから、議事は途中で妨害され、結果、総会は3時間以上もかかりました」。
レオパレス21は、3年前に発覚したアパートの施工不良問題で大ダメージを受けて、2021年3月期は東京証券取引所の基準で84億円の債務超過に陥った。だが、22年3月期に業績は大きく持ち直し、債務超過解消を発表したばかり。株価も長い底値圏から反転の兆しが出ている。
だが、一難去ってまた一難。今度は株主総会が荒れに荒れる展開となったのだ。
それでは、株主総会で怒鳴ったりヤジったりした株主らの目的は何だったのか。次ページでは、総会で質問に立った彼らが訴えた主張の中身に加え、レオパレス21が過去の取引業者との間に抱える奇妙なトラブルの存在も明らかにする。