オリビア・ニュートン・ジョンが2022年8月8日に73歳で亡くなった。1948年生まれだから日本でいえば団塊の世代、80歳を超えるポール・マッカートニーやリンゴ・スターに比べたら若い。まだまだ歌っていてほしかった歌手だ。彼女の活動と魅力を振り返り、追悼の意を示したい。(コラムニスト 坪井賢一)
透明感のあるハイトーン・ボイスと
キュートな笑顔で世界を魅了
オリビア・ニュートン・ジョンは、日本においては1975年に大ヒットした「そよ風の誘惑」でスーパースターの仲間入りをした。イギリス出身だが、5~6歳でオーストラリアへ移住しているので、イギリス系オーストラリア人ともいえる。
ずっとオーストラリア在住だったわけではなく、デビュー後はイギリスへ戻り、のちにアメリカに移り、亡くなったのもアメリカだった。
透明感のあるハイトーン・ボイスが心地よく、さわやかな物腰とキュートな笑顔で世界を魅了した。1970年代から2020年代までこれほど多くの楽曲をリリースし続けた歌手は、そう多くはない。万人が引かれる稀有な歌手だった。
それにしても「そよ風の誘惑」とは、意訳どころか創作されたタイトルだ。原題は「Have You Never Been Mellow?」で、「安らぎを得たことはないの?」といった意味だろう。とはいえ、オリビアは本当に「そよ風」のような歌声で、深く癒やされたご同輩は多かろう。なんとも心地よい邦題を付けたものである。
日本には10回以上やってきて、ツアーやテレビ出演を行なっている。また、がん医療・研究への助成活動や環境保全、福島への支援など、国際的な社会貢献にも積極的だった。これらの長年にわたる音楽活動、社会貢献活動によってオーストラリア、イギリス、アメリカ、日本政府からも顕彰され、そして叙勲もされている。旭日小綬章を授与されたのは昨年秋で、ニュースにもずいぶん取り上げられた。