スマホで遊ぶ子どもたちPhoto:PIXTA

我が子がスマホゲームやSNSにハマった結果、昼夜逆転して不登校になったり、成績が下がったりしたという話をよく聞く。だが、SNSを使わないと仲間はずれやいじめにつながるほか、ゲーム内に人間関係ができてしまい、なかなかやめられないという。親がスマホを無理やり取り上げようとした結果、衝動を抑えられない子どもから暴力を振るわれたという体験談も耳にする。家庭内不和を避けながら、子どもをスマホ依存から守るために、親はどんな指導をすべきなのだろうか。(成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト 高橋暁子)

スマートフォン購入を機に
我が子の性格が「豹変」

 親からスマートフォンを買い与えてもらい、ゲームやSNSを本格的に使い始めた結果、物珍しさからハマってしまう子どもは一定数存在する。そして、それがトラブルに発展するケースも少なくない。

 東京都の「都民安全推進本部」が2021年に発表した調査では、新型コロナウイルス感染拡大を機に小学生~高校生のネット利用時間が延び、「注意しても長時間利用する」「友人たちとトラブルになる」「個人情報が漏えいする」といった問題が増えたことが分かっている。

 また、さまざまな調査によって、「スマホは中学校1年生から持たせる」親が多いという結果が出ている。だが、同時に「家族共用のスマホや、中古のスマホを使い始めるのは未就学児や小学生の頃から」ということも判明している。

 特に最近は、小学生からTikTokやLINEなどを使い始めているようだ。NTTドコモ モバイル社会研究所の「2021年親と子の調査」によると、小学校低学年女子に関しては、LINEよりもTikTokの利用率のほうが高いという。

「小学生の娘がいつでもどこでもTikTokの動画を撮りたがり、撮ったらすぐにアップしたがる」とある保護者はため息をつく。

「フォロワーの反応が気になるみたいで、次々にアップしてはコメントを返して、一日中スマホをいじっている。知らない成人男性から『かわいいね』とコメントされていたのを見つけて心配になった」

 また、別の女子小学生はLINEにハマり、ずっとLINEを見てばかりいる。保護者は「友達にメッセージを送った後、すぐに既読がつかないとイライラしている」と、娘の様子を危惧する。

 この女子小学生は、LINEの返信が遅い友人にきつく当たってしまい、教員から注意を受けることもあるそうだ。

「友達に『返事が遅い』と文句を言ったり、『あの子は(返事が遅いから)呼ぶのをやめよう』と言って仲間はずれにしたりしていると、先生から注意を受けた」と母親は吐露する。

 スマホを手に取ったことがきっかけで、人が変わったようになるのは女子だけではない。