スマートフォンゲームや動画サイト、SNSなどの利用に「依存状態」といえるほど夢中になる人は少なからず存在する。そうした層が「依存状態」から脱却するための医学的治療法は、どんなものがあるのか。また、子どもたちの「スマホ依存」を防ぐために、家庭でできる予防法は何か。精神科医・中山秀紀氏の著書『スマホ依存から脳を守る』(朝日新書)から、一部抜粋・再編集して解説する。
「節制しながら」か「全く断つ」か
スマートフォンなどへの依存状態に陥ったのちに、その依存物を「節制しながら使い続ける」のか、「全く止める」かは、非常に重要な選択となります。
依存物はその特性として、手軽に飽きずに快楽を得られます。人間は便利なものを一度手にすると、それを手放したくないものです。家庭の主婦(夫)でも、家の洗濯機が壊れてしまって明日から洗濯物をすべて手もみ洗いするとなると、暗澹たる気持ちになるでしょう。
依存症からの回復には、「依存物の使用を断ち続けること」と「依存物を適切に使用し続けること」の二種類がありますが、どちらがより難しいのでしょうか。