暗闇でスマホを見る男性Photo:DuKai photographer/gettyimages

人々がスマートフォンを使いすぎてしまう状況は、スマホアプリやWebサービスを手掛けるIT企業によって意図的に作り出されたと言える。 消費者の利用時間が長ければ長いほど、SNSやゲーム、動画サイトなどの運営企業はもうかるからだ。アプリをしばらく使用しない人に「プッシュ通知」を送る、ゲームアプリを毎日利用した人にアイテムを贈る、といった手法はその代表例だ。こうしたIT企業の手練手管の詳細と、スマホの利用時間が気になる人に向けた「デジタル・デトックス」の手法を合わせて解説する。(成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト 高橋暁子)

恋愛よりもスマホゲーム優先
「リアルの生活」そっちのけの大学生

「恋愛とかデートとか面倒くさい。時間もかかってコスパ悪いし、スマホゲームの方が楽しい」

 筆者の周囲には、そういう大学生が実際にいる。この若者のように、リアルの生活はそっちのけでスマートフォンに夢中になっている人は少なくない。

 他にも、「フォロワーが増えるとうれしくて、投稿やコメント返しに時間がかかるようになった。子育てに役立つと思って始めたはずなのに、気づいたら子どもが泣いていてもついSNSを優先してしまっている」という主婦がいる。

「暇な時は一日中スマホで動画を見ている。気になる動画が次々と見つかるので、休みの日にはぶっ通しで15時間くらい見続けていて、背中が痛くなった」という社会人男性もいる。

 われわれがこのようにスマホ向けのサービスにハマってしまう理由は、人々を引きつける仕組みが多数仕掛けられているからだ。

 その裏側にある、スマホアプリを開発・運営するIT企業の手口はどういうものなのか。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴ってインターネットの利用時間が長くなりがちな今、依存状態にならずに利用するにはどうすればいいのか。

「スマホを手放せなくなる人」を生み出すIT企業の手練手管と、それから身を守るための「デジタル・デトックス」の具体的手法を、次ページ以降で詳しく解説する。