世界の家電業界に、二つの大きなうねりと共に大きな変化が到来している。

 今後の家電業界のトレンドを占う世界最大の家電ショー、CESが1月11日(ラスベガス現地時間)に閉幕した。出展企業3250社超、来場者15万人以上を集めて過去最大の規模となった今回のCESで、それが明らかになった。

 一つは、家電業界の中心がスマートフォンなどのモバイル機器に移り、それに伴って家電メーカーを支える“黒子役”だった半導体メーカーが、業界勢力図の覇権を握りつつあること。もう一つは、成長著しい中国メーカーの台頭だ。

 それを印象づけたのが、昨年を最後にCESの表舞台から姿を消した、マイクロソフトの穴を埋めた2社だ。

10年以上、マイクロソフトが務めた基調講演の大役を担ったクアルコムのポール・ジェイコブスCEO(右)。“サプライズ”でマイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(左)も登場した

 マイクロソフトの退場は、CESに二つの大きな“穴”を空けた。一つは、CES最大の目玉とされる開幕前夜の基調講演、プレキーノートスピーチだ。ビル・ゲイツ前CEO、スティーブ・バルマーCEOと引き継ぎ、10年以上もマイクロソフトが務め続けた大役だった。

 この穴を埋めたのが、米半導体メーカーのクアルコムだ。スマホに必要不可欠な、頭脳に当たる半導体の圧倒的世界シェアを手中に収める、新時代の支配者だ。ポール・ジェイコブスCEOは講演で「born mobile」というキーフレーズを掲げ、「CESの歴史上、初めてモバイル企業がプレキーノートスピーチの舞台に立った」と誇らしげに宣言。新時代の到来を印象づけた。