過去の成功例が通用せず、優れた手法はすぐに真似される「正解がない時代」。真面目で優秀な人ほど正攻法から抜け出せず、悩みを抱えてしまいます。リクルートに入社し、25歳で社長、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ。創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は、「起業家の思考法を身につけることで、正解がない時代に誰もが圧倒的成果を出すことができる」と語ります。「自分らしく」「優秀で」「別の」やり方を組み合わせた「別解」を生み出すことで、他人の「優等生案」を抜き去り、突き抜けた結果を実現することができるのです。本連載では、2021年11月にIVS那須で開催された「起業家の別解力」をテーマとしたディスカッションの内容をお伝えします。

働き方の多様性を増やす「別のやり方」とは?

プロジェクトごとに全く異なる組織づくり

佐藤航陽(以下、佐藤) まさに別解しか私、やってないなと思いまして。

今、三つのプロジェクトに関わっています。一つは、衛星データと機械学習、3DCGを組み合わせていって、マトリックスみたいに現実と変わらないVR空間を自動生成するという仕組みを作っています。これ、完全に研究開発なので、本当にこれで儲けてやるみたいな話はあんまりなくて、実際にレディ・プレイヤー・ワンとかマトリックスみたいな空間が技術的に作れるのかどうかっていうのを試してみたいという興味からきています。

2つめがC向けですね。規格外品や賞味期限が近い食品は捨てられているんですけど、それを売買するマーケットプレイスをやっています。今、一応500万人ぐらいユーザーがいて、この分野では日本で一番のサービスになってます。

3つめが、一番最初に創業した会社、メタップスといいまして、B向けなんですね。ペイメント、決済、広告、最近ではSaaSみたいなものをやっています。私は執務から離れていますけど、大事な案件のときだけ関わっています。

研究開発とC向け、B向けって全部やってきていて、組織ごとにカルチャーとか考え方が全く違うかたちで、3個並行で進めているのでメリットデメリット各やり方あるなと思ってます。研究開発とB向けが真逆ですね。メタップスに関しては創業した当時から、結構スタンダードな経営の仕方をしてました。なので、ウェットなマネジメントもしましたし、割とゴリッと営業したりとか、組織の作り方っていうのもある種スタンダードなスタートアップのやり方というのを踏襲してきました。

逆に研究開発に関しては真逆にいってみて、メンバーはいるんですけども、1回も皆会ったことがないですし、私も顔を知らないですね。一応性別はわかるんですけど、アイコンと名前だけですかね。年齢はわからないです。ただ、オンライン上のみで、Slackとかチャットで全員コードを書いてオンライン上だけでやり取りをするという関係性で、ちゃんとかたちにはなっているので、このやり方もあるんだなというのが一つの別解でしたね。

C向けはハイブリッドで、一応全員顔は知ってて、1カ月に1回は会うけれどもオフィスがなくて、バーチャル上で、全員オンライン上でやるっていう仕組みになってます。どれもメリットデメリットあるなというのが今回の発見でした。ちょっと短いですけど、ありがとうございます。