水害写真はイメージです Photo:PIXTA

大雨の被害が全国で相次いでいる。もし自分が被災し医療を受ける時には、どうすればいいのだろうか?実は自然災害の被害者を救済するために、医療費についてもさまざまな支援措置が用意されている。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第245回では、万一自分が被災した場合に覚えておきたい、医療費支援について見ていこう。(フリーライター 早川幸子)

大雨による被害が続出
健康保険証を紛失したらどうする?

 この夏もまた、大雨による被害が日本列島を襲っている。

 8月3日、前線の停滞や低気圧の影響で、青森・秋田・山形・新潟の4県で線状降水帯が発生。記録的な大雨が降り、河川が氾濫して橋が流されたり、住宅に浸水したりするなどの被害が出ている。その後も、東北地方や北陸地方を中心に、断続的・局地的に激しい雨が降り続いているため、15日現在もまだ河川の増水や氾濫に厳重な警戒が呼びかけられている。

 この雨による被害は、東北地方や北陸地方を中心に18道県に及んでおり、人的被害が11件、住家被害が5322件(内閣府「令和4年8月3日からの大雨による被害状況等について」8月16日現在)。山形・新潟・石川・福井・青森県の35市町村に災害救助法が適用されている(内閣府「令和4年8月3日からの大雨による災害にかかる災害救助法の適用について【第5報】」8月9日現在)。

 大雨に限らず、地震や津波、噴火などの自然災害が発生すると、ケガをしたり、慣れない避難所生活で体調を崩したりする人が多くなる。だが、避難するのに精いっぱいで、身の回りのものを何も持ち出せないこともあるため、災害時には医療費の支払いについても特例的な対応が取られることになっている。災害時の公的な医療保険(健康保険)の特別措置について、大雨による被害が出ている今、改めて確認しておきたい。

●健康保険証がなくても保険診療が受けられる
●被災の程度と健康保険組合によっては自己負担金の減免措置もあり
●救護所・避難所で受けた医療は公費負担、患者に負担はかからない