楽天損害保険はハザードマップを基に水災リスクを四つに分け、火災保険料に地域差を設けている。保険業界で初めてとなるこの取り組みが、業界の全体に広がろうとしている。この動きの先に「住宅負け組」が生まれる。特集『五輪後の不動産・マンション』(全12回)の最終回では、水災リスクが不動産に与える影響に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
水災リスクで保険料1.5倍差
10年保険で最大で5万8500円差
台風や豪雨などによる水害が頻発する中、水災リスクに応じて火災保険料が決まる時代に入る。楽天損害保険が2020年4月に国内で初めて住宅向け損害保険商品で導入し、大手損保も導入の検討を始めたのだ。
この動きが不動産に与える影響が大きいことに、一部の金融業界および不動産業界関係者たちは気付いている。
建物所在地の水災リスクのレベルによって保険料に差が生まれ、不動産評価により反映され、金融機関が不動産に融資する際の判断材料にもなってくるからだ。
水災リスクの程度によって具体的にどのような差が生まれるのか。保険期間10年の場合で保険料は約1.5倍の差、実際の金額で最大5万8500円の差が生じる(次ページに保険料比較を掲載)。スタート段階であるために料金差が小さく抑えられているにもかかわらずだ。