「このまま」今の仕事を続けても大丈夫なのか? あるいは「副業」をしたほうがいいのか? それとも「起業」か、「転職」をすべきなのか? このように感じたとしたら、それは皆さんの考えが正しい。なぜなら、今感じているお金に対する不安は、現実のものとして近づいているからです。無収入となる65歳から70歳、もしくは75歳までの空白期間を、自己責任で穴埋めしなければならなくなる未来が、相次ぐ法改正でほぼ確定しました。
そんな人生最大の危機がいずれ訪れますが、解決策が1つだけあります。それはいますぐ、「稼ぎ口」を2つにすること。稼ぎ口を2つにすれば、年収が増えて、節税もでき、お金が貯まるからです。新刊『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』では、余すことなく珠玉のメソッドを公開しています。受講者は6000人に及び、その9割が成功。さぁ、新しい働き方を手に入れましょう!

国税庁「300万円以下は副業ではない」<br />サラリーマンなら「2つ目の稼ぎ口」に<br />今すぐ取り組むが大正解な理由Photo: Adobe Stock

副収入300万円以下なら雑所得、副業にあたらない

 300万円以下の副収入の儲けは「事業所得」ではなく「雑所得」である旨、所得税基本通達に明記されることとなりました(https://wp.me/a6gSf3-1Wl)。パブリック・コメントを経て、令和4年1月から遡って適用されます(https://wp.me/a6gSf3-1Wm)。そこで今回は、この改正がサラリーマンの副業に及ぼす影響と、最も適切な対応策についてお伝えします。

 事業所得とは文字通り、「事業による所得」です。それが主たる事業なら「本業」、副たる事業なら「副業」です。それより小さい雑所得は、事業による所得ではないので、「副業による所得」になりません。強いて言うなら、「副業ごっこによる所得」です。だからその儲けは、事業所得ではなく雑所得となります。副業ではないので、会社に迷惑をかけない限り、就業規則違反にはなりません。

 税務署の実務上はこれまで、いくらまでが雑所得で、いくら以上が事業所得かの線引きが曖昧でした。でも、今回の改正で300万円という分岐点が明示されたので、とてもスッキリしました。

 実は、今回の改正は、既定路線です。なぜなら以前から、「他に主たる所得があり、過去3年間のうち、収入金額が300万円を超える年がない場合には、雑所得を生ずべき業務に係る雑所得に該当すると取り扱って差し支えない」と、税務大学校の柿原勝一教授が仰っていたからです。その意味で、実務の運営がようやく正規見解に追いついたともいえます。

 では、今回の改正は、私たちサラリーマンの副業に、どんな影響を及ぼすのでしょうか。メリットとデメリットに分けて整理してみました。

メリット:安心して「副業ごっこ」を始められる

 300万円以下の副収入は雑所得にすぎないことが明確になったので、300万円以下の副収入が副業にあたらないことも明確になりました。副収入300万円の規模には、1年や2年では到達できません。ですから、安心して「副業ごっこ」を始められます。本業の他に「副業ごっこ」のような2つ目の稼ぎ口を作る生き方を「稼ぎ口二刀流」と言います。

 ちなみに今回明記されたのは事業所得についてです。不動産所得については昔から、「5棟10室基準」という明確な基準がありました。戸建て5棟以上・アパートやマンション10室以上、もしくは年収500万円以上の規模でなければ、副業に対して一番厳しい公務員であっても営利目的の自営(副業)とはみなさなれません(人事院規則14-8)。

デメリット:グレーな節税手法が使えなくなる

 デメリットは、300万円以下の副収入の場合、意図的に赤字を出して給与所得の税金を還付してもらう裏技が使えなくなることです。この手法はこれまでもグレーでしたが、今後は完全に“黒”となります。その意味では、今までズルをしてきた人にとっては痛手です。でも、その他99%の正直者から見れば、不公平が是正されるので、むしろメリットといえます。

対応策:サラリーマンは今後どうすべきなのか

 300万円以下の副収入が副業でないことがクリアになったので、これからは安心して2つ目の稼ぎ口を使って稼いでください。会社は65歳で雇い止めになります。でも、70歳ないし75歳まで年金はもらえません。先行きが不透明な時代を生き抜くうえで、2つ目の稼ぎ口を今から育てておくことは必須と心得ましょう。

 とはいえ、勤め先に副収入の存在を知られたくはありません。もちろん、副収入が100万円とか200万円程度の初期段階でバレることはありません。経費を工夫して儲けを20万円以下に抑えられれば、所得税の確定申告が不要だからです。

 しかし、副収入が200万円を越えてくると、経費率が低い情報ビジネスなどでは、儲けを20万円以下に抑えることが難しくなります。

 そこで、その場合には、「妻社長メソッド」を始めましょう。配偶者や子ども、ご両親などの身内をプライベートカンパニーの社長に据えるメソッドのことを「妻社長メソッド」といいます。あなた自身はその家業を手伝うことになりますが、家業の手伝いは副業ではありません。妻社長メソッドを使えば、あなたは実質的に「稼ぎ口二刀流」を続けられるということです。

 しかも、プライベートカンパニーの場合には、収入が300万円以下であっても雑所得扱いにはされません。サラリーマンには想像できないレベルの節税ができるので、お金が貯まり始めるのです。自信を持って取り組みましょう。

*本記事は、『40代からは「稼ぎ口」を2つにしなさい 年収アップと自由が手に入る働き方』著者による書き下ろしです。