ナンシー・ペロシ米下院議長が今月台湾を訪問したことに中国が反発し、地球温暖化対策を巡る米国との協議を打ち切ったことで、気候政策が米中間の新たな争点に急浮上してきた。インド太平洋地域における対立、民主主義的価値観と専制主義の衝突、半導体の覇権争いなど、米中関係に影を落とす多くの問題の中でも、台湾はもともと米中関係にとって難題となっていた。だがペロシ氏(民主、カリフォルニア州)が中国政府の警告を無視して訪台する前は、世界最大の温室効果ガス排出国である米中の関係が悪化する中でも、気候変動対策は協力が期待できる数少ない分野だった。中国はペロシ氏の訪台後、台湾周辺に戦闘機や艦艇を展開して軍事演習を開始。5日には、国防当局間の対話や麻薬対策、国際犯罪など重要分野における米国との協力を中断または打ち切る方針を表明した。
米中対立で変わる気候問題、消える「協力」の象徴
有料会員限定
あなたにおすすめ