木々に囲まれた街中を散歩する人物の後ろ姿写真はイメージです Photo:PIXTA

仕事や勉強で行き詰まったときは、散歩が有効だ。ぼんやりと歩いているときに活性化する脳の働きが、創造性や発想力と深く関わることが注目されている。散歩が心を整え、新たなアイデアを生み出す理由を解説する。※本稿は、帝京大学文学部心理学科教授の元永拓郎『歩くと心が軽くなるのはなぜか――散歩の心理学』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

忙しい受験生たちが見つけた
散歩というささやかな休息

 戦っている受験生たちのささやかな休みについて聞いている中で、興味深いことに気づきました。それは、1分1秒の時間を惜しむ受験生が、散歩を気分転換に使っていることがあるということでした。

 散歩もいろんなやり方をしています。地元から上京した学生は、学生寮の近くの気に入った散歩ルートを週末に歩くことをしていました。お昼休みとかの少し時間ができたときに、予備校の周辺の公園の周りを含めて気ままに歩く散歩をしている人もいました。

 通学の行き帰りに、日の光を浴びていることを意識しながらゆっくり歩いたら、それだけでも元気になるということを発見した人もいました。

 入試直前期に志望校の下見がてら大学周辺を散策する人もいます。自習時間の合間に、1、2分のミニ散歩を、校舎内でしている人もいます。

ボーッとして歩くことが
脳の創造性を高めていた

 歩くことが、時に創造の力を刺激します。歩くことを通して、いろんなことを考え創造し、世界とのかかわりあいを感じることは、歩くことに関する有名な本でも強調されています(レベッカ・ソルニット『ウォークス――歩くことの精神史』左右社)。