フィアット500e

さまざまな短所を上回る
“デザイン”という魅力

 航続距離が足らないから、急速充電インフラが十分でないから、電池の寿命やリサイクルに不安があるから、ライフサイクルで考えると決してエコじゃないから、BEV(フルバッテリー電気自動)はダメというわけではない。クルマとして魅力的であれば、BEVだろうが燃費の悪い大排気量エンジンだろうが“売れる”。

 否、魅力さえあれば多少の不便などいとわないという層はかなりのボリュームでいらっしゃる(クラシックカー乗り、とか)。要は、長所と短所の差し引きが問題なのであって、冒頭で連ねた現代のBEVの構造的な欠点を上回って乗りたいと思わせる魅力があれば商品として十分成立する。何も周りの全てをEVにしなければならないなんて、少なくとも日本では(EVピューリタン以外)誰も言ってない。

 というわけなので、フィアット500をベースとした電気自動車(と言っても、中身はもちろん大きさも違うので、これまでのガソリンモデル=エンジン・チンクとは別物だ)が登場するというニュースを見て、その写真を目の当たりにしたとき、「これなら欲しい、こういうBEVを待っていた!」と思ったものだ。