爆笑問題・太田氏を統一教会「擁護派」と糾弾する日本人に、既視感しかない理由写真はイメージです Photo:PIXTA

旧統一教会問題、お祭り騒ぎも終わる?
再び忘れてしまう日本人

 お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光氏が一部で炎上しているようだ。

「サンデー・ジャポン」(TBS系)で、旧統一教会を「擁護」するような発言が続いていることから、「旧統一教会批判をするミヤネ屋や、ひろゆき氏を見習え」「ただの逆張り以外の何物でもないからイライラする」とSNSなどでボコボコに叩かれているのだ。

 叩かれるのは太田氏だけではない。ワイドショーでコメンテーターをしている橋下徹氏、古市憲寿氏、田崎史郎氏なども批判されたりしている。彼らは報道が過熱している現状に懸念を示したり、山上徹也容疑者の「テロ」が実質的に成功してしまっていることを指摘したりしているのだが、「破壊的カルトをかばうな!」「被害者救済は二の次か!」「論点ずらしだ!」などと猛烈なバッシングを受けている。「旧統一教会を厳しく批判しない者は人にあらず」というムードが盛り上がっているのだ。

 …と聞くと、「素晴らしいじゃないか!世論が盛り上がれば、政府だって宗教法人法に基づいた解散命令を出さざるを得ない」と喜ぶ方も多いだろうが、筆者は今のムードには一抹の不安がある。

 30年前にワイドショーで連日大騒ぎをしていた「統一教会」の被害が、いつの間にやら忘れ去られていたように、日本人は基本的に熱しやすく冷めやすく、しかも「忘れっぽい」からだ。

 日本人は「どれだけ叩いてもいい」という対象ができると、お祭りのように盛り上がって、相手を自殺に追い込むくらいのリンチをする。一方で、日頃のストレスが発散されてしまうと途端に興味を失ってしまう傾向がある。そうなると、ワイドショーも視聴率が取れないので扱わなくなり、人々も忘れてしまう。

 今回の旧統一教会批判も、そんな「いつものパターン」のにおいが漂う。

 太田氏や橋下氏のように持論を述べる人たちをこき下ろして、「カルトを潰せ」と喉を枯らしているうちに、「正義」を実行したような錯覚に陥って満足してしまう。

 持論を述べる人たちが沈黙すると議論は盛り上がらないので、人々はこのテーマに関心を失っていく。結果、メディアも部数や視聴率が稼げないのでトーンダウン。気がつけば、「え?自民党と統一教会?ああ、そんな話あったねえ」なんてリアクションになってしまい、選挙でも自民党が大勝するというワケだ。