ウクライナ侵攻が変えた
エネルギー見通し
ロシアのウクライナ侵攻や対ロ制裁で世界のエネルギー事情が大きく変わった。
西側諸国は、ロシアの原油や天然ガスに依存することができなくなり、欧州連合(EU)は天然ガス使用量を15%削減し、ロシア産ガスへの依存を減らす方策について合意した。
日本に対してもプーチン大統領は三井物産と三菱商事が出資するロシア極東の液化天然ガス(LNG)・石油開発事業「サハリン2」の運営を新たに設立するロシア企業に移譲するよう命令する大統領令に署名した。
日本企業が石油や天然ガス開発事業から締め出される懸念が強まる。
「サハリン2」から日本に供給されるLNGは、国内消費の約1割に相当する600万トン程度だが、もしこの供給がなくなれば、老朽火力発電所の再稼働や節電で代替するのは難しいと言われる。
代替LNGをスポットで調達すると、追加コストが2兆円近くになるとも言われる。
だから原発再稼働や新増設を急げという声が高まるが、ここは冷静に考える必要がある。