写真:新幹線,車両基地写真はイメージです Photo:PIXTA

JR上場4社、大手私鉄15社の第1四半期連結決算が出そろった。目下、感染第7波の影響が全国に波及しているが、感染が増加傾向にありながらも比較的、状況が落ち着いていた今期は19社全てが最終黒字を達成した。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

JR上場4社は運輸事業の
赤字を段階的に縮小

 JR上場4社の最終黒字は、JR東日本が約189億円、JR西日本が約470億円、JR東海が約579億円、JR九州が約69億円だった。鉄道事業の費用は必ずしも四半期ごと等分されないため参考値ではあるが、JR東日本とJR西日本はコロナ以降で初めて運輸セグメント(鉄道、バスなど)が黒字化した。JR東海は2020年度第3四半期、2021年度第3四半期以来3回目、JR九州は2021年度第3四半期以来2回目の達成となる。

 各社の2019年度から今年度までのセグメント別営業損益の推移を見ると、3年をかけて運輸事業の赤字を段階的に縮小し、黒字転換にこぎ着けたことが分かる。大手私鉄のビジネスモデルと同様に、不動産・ホテル事業が鉄道事業に並ぶ柱となっているJR九州を除き、他のセグメントで運輸事業の赤字を埋めきれなかったのが過去2年のJRの苦境の要因だ。

 鉄道事業の実情を知るために、4社の旅客営業収入をコロナ前(対2019年度第1四半期)と比べると、概ね7割前後の水準まで戻ってきている。一昨年度は2~3割、昨年度は同3~5割の水準だったことを考えると、旅客需要は長い時間をかけながら回復傾向にあるといえるだろう。