開成・桜蔭・筑波大駒場・渋谷幕張…。東京・吉祥寺を中心に都内に展開している進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、特にエリート父親層から圧倒的な支持を集めている。本連載では話題の新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』を上梓したVAMOSの代表・富永雄輔氏に、保護者からよく聞かれる質問とその回答を教えてもらった。

「コロナ禍で育った」という事実は、将来子どもにどんな影響を与えるのか?Photo: Adobe Stock
Q. コロナ禍で育った子どもたちに、将来どのような影響が出てくるのかが気になります。

 コミュニケーション能力への影響が懸念されます。

 子どもたちが失った2年あまりの時間は、本当に大きいと思います。

 当たり前の生活、当たり前のようにあった人間関係が失われたので、どうしてもコミュニケーションスキルの低下は否めないと思います。

 ただ逆に、パソコンやLINEを使ったコミュニケーション能力は高まっているはずです。

 今の大人が持っていないコミュニケーションスキルで彼らがコミュニケーションを取ることはありえるでしょう。

 従来型のコミュニケーション能力は落ちるかもしれないけど、そうではないものは上がっているかもしれないです。

 私は塾講師の仕事の他にサッカー選手の代理人をしていますが、コロナ禍の2年あまり、選手に会うことが難しい状況でした。

 当然ですが、そうすると選手との信頼関係のつくり方は、電話がメインになります。

 そこで感じるのが、今の20代前半の若い選手は、代理人と直接会って信頼関係を構築したいみたいな感覚があまりないということです。

 友だちとは食事に行きたいけれど、たとえば職場の上司とかとワイワイしたいかと言えば、傾向としてはそういうのが好きな世代ではないでしょう。

 そうなると、彼らがどうやって大人と連絡を取るかというと電話やLINEになります。

 私は、彼らはその中で人を信用したり人を判断する技を持っていると考えています。

 なので少し怖い話ですが、大人が気づかないうちに「何らかの判断」をされてしまっているということがあるかなと思います。

 LINEの返信のタイミングや内容、電話のタイミングやレスポンス、そういうものがその人を信用するかどうかの「ものさし」になる時代がきているかもしれないですね。

 最後に、子育てという観点でお伝えしたいことをまとめると、コロナ禍の環境での生活が大人が想像する以上に若い世代には浸透しているので、そうした環境で育ってきた人に対して大人が自分たちの価値観で接すると、価値観と価値観が思った以上にぶつかる可能性があるということです。

 この点は、しっかり気をつけるべきだと思います。