DXを進める切り札として、クラウド活用を推進する専門チーム「CCoE(Cloud Center of Excellence)」を設置する企業が増えている。国内でも比較的長い歴史を持つ富士フイルムビジネスイノベーションのCCoEは、IT部門ではなくユーザー部門に設置されており、メンバーはたった2人。その意図をCCoEの田中圭さんに聞いた。(ノンフィクションライター 酒井真弓)
※本稿は、酒井真弓著『DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス』の一部を再編集したものです。
写真フイルムの会社からトータルヘルスケアとICTの会社へ
富士フイルムビジネスイノベーション(以下、富士フイルムBI)は、2021年4月、富士ゼロックスとしての約60年の歴史に幕を閉じ、再始動した。写真フィルムの会社から変革を遂げ、今やトータルヘルスケア、ICT領域まで幅広く事業を展開する富士フイルムブランドのもと、スピーディな開発生産とグローバルな事業展開を目指す。
大きな組織が変わるとき、ビジネスを支えるITインフラにも相応の変化が求められる。
富士フイルムBIは、2014年から、IT部門ではなく、クラウドを活用するユーザー部門にあたるサービス開発部門にCCoEを設置。顧客向けサービス基盤の企画や提供、新規ビジネス創出のためのPoC(概念検証)支援などを行ってきた。現在、主要な顧客向けサービスのほとんどがこのサービス基盤上で稼働し、検証環境を含む総テナント数は100を超えている。CCoEの田中圭は、「これまで培ってきたクラウドを安全に使うためのノウハウを、今後はさらに富士フイルムグループ全体に広げていきたい」と語る。