IT未経験の警察官から転身、AWSとGoogle Cloud 計23の資格を持つエンジニアの学習法G-gen クラウドソリューション部 部長 杉村勇馬さん。AWSとGoogle Cloudを高度に使いこなす「クラウド二刀流エンジニア」である  Photo by Mayumi Sakai

株式会社G-gen(ジージェン)の杉村勇馬さんは、Google Cloudの認定資格11個をコンプリートし、アマゾンのクラウドサービスであるAWSの認定資格を12個持っているというクラウド業界のトップエンジニアだ。そんな杉村さんの前職はなんと警察官。IT未経験でエンジニアに転身し、自身を「異世界転生もの」とたとえる杉村さんに、どんな学び方をしてきたのかを聞く。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

睡眠時間3時間、激務だった交番勤務

 警察官からエンジニアに転身し、自身のキャリアを「異世界転生もの」と表する杉村勇馬さん。つい先日、Google Cloudの認定資格11個をコンプリートし、AWS認定資格と合わせて国内でもまれに見る23冠となった。杉村さんの学習法は、ITに限らずあらゆるスキルアップのヒントになりそうだ。

酒井 なぜ警察官を辞めてしまったんですか?

杉村 一番の理由は、交番勤務の日の睡眠時間です。仮眠できて3時間、できないときは一睡もできない。ほとんど休みが取れない人もいるくらい激務でした。

 これまで生きてきた環境と全く違っていたこともこたえました。警察学校を出てすぐの刑事課研修では、朝、誰よりも早く来て掃除して、仮眠室のシーツを替えて、刑事の皆さんのコーヒーを用意するんです。この人はブラック、この人はミルク、この人はミルクと砂糖、この人はコーヒーが好きじゃないから出しちゃダメとか。雑用は全て一番若い人の仕事でした。

 警察官の仕事は、被害者や被疑者の人生がかかっているだけに、ミスは許されません。常に厳しく指導されました。精神的にキツくて、起きられなくなってしまったこともあります。とにかく耐えました。

 そうしたら1年後、ふと「もしかしたら警察官を続けられるかも」と(ポジティブに)思えた日がありました。「今この精神状態で辞めるなら、逃げじゃないよな」と、自分を納得させられた瞬間があったんです。「まぁいいか、2年やったし」って。

酒井 ある種の達成感を覚えて辞めたんですね。

杉村 ただ、本当にしんどかったです。だからこそ、今も警察官の皆さんを心から尊敬しています。