インドの反トラスト法(独占禁止法)当局が実力行使に出ている。世界第2位のインターネット市場への進出を当てにしている米ハイテク大手には、懸念すべき状況だ。インド競争委員会(CCI)は先週、メッセージアプリ「ワッツアップ」のプライバシーポリシーに関する調査について、デリー高等裁判所からゴーサインを得た。このプライバシーポリシーは昨年公開され、物議を醸していた。ワッツアップと親会社メタ・プラットフォームズが、調査を阻止するために提訴したことを受け、調査はほぼ1年半凍結されていた。今回の調査はインドでは異例だ。ワッツアップがメタおよび他のメタ傘下企業と行っているデータ共有の全容とその影響が調査される予定だ。調査は、デジタルに関する国民の権利を主張するインド政府にとって、大きな一歩である。おそらくこの主張の中で最も興味深いのは、アプリが市場で支配的な位置にある場合、プライバシーポリシーと利用規約が競争規制当局の管理下に置かれる可能性があるという点だ。これがきっかけとなって、世界およびインド国内で、同様の調査が増加する可能性がある。ただ、インドのデジタル経済はまだ勢いを得たばかりで、インドの規制当局はそのイノベーションに水を差すことがないよう用心する必要がある。