ガラス職人はもちろん、自動車メーカーやボトルメーカー、高層ビル建設業者など、さまざまな欧州企業が、ロシアのガス供給抑制によるガラス不足の可能性に備えている。ウクライナ問題で欧米と対立するロシアが欧州への天然ガス輸出を減らす中、欧州各国政府は供給が不足した場合に備えて、エネルギー集約型産業へのガスの配給や節約を奨励する緊急計画を策定している。ガラス製造がここにきて大きな弱点になっている。ガラス製造には溶融ケイ砂、ソーダ灰、石灰石が必要だが、欧州では必要な温度を作り出すためのエネルギーの大半をロシア産ガスが占めている。ガラスは窓ガラス、車のフロントガラス、パソコンやスマートフォンの画面のほか、薬や清涼飲料水、酒を入れる瓶など、あらゆるモノに使われている。深刻な供給不足は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)やロックダウン(都市封鎖)後の需要増、ウクライナ戦争で発生したようなサプライチェーン(供給網)の混乱を再び引き起こしかねないと懸念する企業幹部や産業アナリストもいる。