岡藤正広が設立した
第8カンパニーの狙い
東京・青山にある伊藤忠本社の8階には消費関連の部署が集まっている。2019年7月、そのフロアの一角に、未来の日本のためのカンパニー「第8カンパニー」が発足した。同社がカンパニー制へ移行した1997年以降、初めて設立された新しいセクションである。
第8カンパニーを設けたのは岡藤正広で、意図は次のようなものだ。
「総合商社は『商品基軸』でビジネスを拡げてきたため、例えば、当社では食料や繊維といった大きな商品別の括りでカンパニー制を敷き、その中で更に細かい商品やサービス別の組織に細分化されています。関連性の高い商品の枠組みの中で、個別の商品を調達・販売したり、サービスを提供したりするには最適化された組織です。しかしながら、現在、そうした『タテ割り』の組織が時に弊害になっています。
例えば、スーパーマーケットから売り場全体の相談があったとしても現行の『商品別の担当者』では、精肉、コーヒー、お菓子等で各々担当者が分かれているために、お客様の要望に対して総合的な商品やサービスの話がしづらい状況となっております。
その第一歩として、本(19)年7月1日付で第8カンパニーを新設しました。既存の7つのカンパニーからB to Cの人材40名程度と関連する資産を結集し、『マーケットイン』の発想にマインドを変え、顧客基盤を活用しながら成功例を積み上げていき、今後それを既存の7つのカンパニーにも展開していきます。当社全体の『マーケットイン』への変革の先兵です。
草木はしっかり根付く前に、頻繁に別の鉢に植え替えていたら、きちんと育ちません。人を育てるのも同様に、特定の分野で一定の時間をかけて『その道のプロ』に鍛え上げていくという考えは、これからも不変です」(統合レポート)。