米国のゴミ捨て場写真はイメージです Photo:PIXTA

高度成長期に活発化した
総合商社のプラントビジネス

 伊藤忠が脱炭素社会に向け力を注いでいるセルロースファイバー、大豆ミートは、いずれも非資源分野のビジネスで、温室効果ガスの排出抑制につながる。

 セルロースファイバーは主に廃棄される木材を使う。大豆ミートは家畜の飼育に比べれば水の量を削減できるし、CO2とメタンの排出を抑制できる。

 家畜の飼育におけるメタンの量は小さいものではない。

 東京新聞にその問題について解説記事が載ったことがある。

「豚肉の場合、小売店で並んでいる骨などを取り除いた精肉1キロ当たりの排出量はCO2換算で約7.8キロとされる。これは、えさの生産や飼育、食肉処理などの過程の排出量を合算したものだ。その後、小売店で売られるまでに、さらに約3.3キロ排出されるという。(略)

 国連食糧農業機関(FAO)の2013年報告によると、世界の温室効果ガスの総排出量のうち、実は畜産業だけで14%に上るという。特に多く排出するのが牛で、畜産業のうち65%を占める。(略)

 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の荻野暁史上級研究員によると、牛肉の生産に関わる温室効果ガス排出量は同じ量の豚肉の4倍ほどに上る。

 主な要因は、牛がする『ゲップ』。荻野研究員の04、07年の論文では、国内で育てられた黒毛和牛の場合、頭や内臓を取り除いた骨付きの枝肉1キロ当たりの排出量はCO2換算で23.1キロ。うち、ゲップなどで出るメタンが半分余りを占めた」(東京新聞 2020年7月28日)

 脱炭素における大豆ミートの開発、普及は大きな効果が上がることなのである。