松下幸之助氏が新入社員の話にも聞き入った理由、上司に必要な「聞く力」の真髄Photo:PIXTA

できる上司には
「聞く力」がある

 ビジネスでは、「聞く力」が重要です。例えば営業職の場合、売りたい商品を売り込む姿勢を避けると良い、というのは鉄則です。自分からする商品の話は全体の2~3割に抑え、話の“聞き手”に回ると、お客さまの満足度が上がり、成約しやすくなるのです。

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 上司と部下の関係でも聞く力が重要です。経営の神様と呼ばれた松下幸之助さんは、人の話を聞くことがとてもうまかったそうです。

 松下さんと親しかった銀行家(旧日本興業銀行頭取)の中山素平さんは、「松下さんほど自分を抑えて人の話を聞くのがうまい人はいなかった」と評しています。松下さんは新入社員の話を聞く際にも必ず「いい話を聞かせてもらって有り難う」という感謝の言葉を述べたそうです。

 東洋哲学の大家・安岡正篤先生は、「相手の話の聞き方を見ていれば、その人物の『練れ具合』が分かる」とおっしゃっています。人の話を聞くことはそれほど難しいのです。