職場で理不尽な目にあっている、なかなか仕事がデキるようにならない、転職に不安……人生100年時代、本当にこのままでいいのだろうか。
そんな仕事の悩みや不安に押しつぶされそうな人におすすめなのが話題沸騰中の書籍、『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン──名著300冊から導き出した人生100年時代の攻略法』だ。
著者は、多くのビジネスパーソンの支持を集め、登録者66万人超えの「サラリーマンYouTuber」サラタメ氏。
本書には、実に600ページにわたり、「仕事術」「転職術」「副業術」「マネー術」など、これからのサラリーマンに必要な全技術がこれでもかと詰め込まれている。
★★★日本一アウトプットする精神科医・作家の樺沢紫苑氏★★★
「全サラリーマンが読むべき一冊。意外にもメンタルダウンしている人に効く。パラパラめくるだけでワクワクする一冊。著書300冊のエッセンスをたった1冊で学べるから、間違いなくお得。読まない理由がない」
★★★人気YouTuber会計士の山田真哉氏★★★
「ビジネス書文法とYouTube文法がかけ算となった革命的な本。分厚いけどあっというまに読める。こんな本はめったにない」
と論客からも絶賛。
本に書いていないがサラタメ氏に聞くと、湯水のごとく出てくる貴重なビジネスパーソンの生きる知恵を凝縮した連載2回目。今回は「転職」についての深い悩みについて、サラタメ氏に聞いた(インタビュアー:川代紗生)。
「今すぐ会社を辞めたい」と思ったとき
絶対にやってはいけないこと
――サラタメさんは、ブラック企業に5、6年勤めたあと、倍率100倍のホワイト企業に転職されたんですよね。
『シン・サラリーマン』に書かれていた転職のノウハウも論理的でわかりやすく、とても参考になりました。とくに、個人的には「転職活動で納得いく結果を出したければ、6ヶ月は必要」と書かれていたことに驚きました。
ちまたの転職エージェントサイトには平均3ヶ月くらい見積もっておけばOK、と書かれていることが多いじゃないですか。
サラタメ:そう書いてあるところ、多いですよね。
でも、焦って短いスパンで転職を決めてしまうと、結局、また合わない会社で働くことになるケースも多くて。なので私は、
・事前準備(2ヶ月)
・応募する(2ヶ月)
・内定&転職手続き(2ヶ月)
と、6ヶ月の余裕を持ったスケジュールがいいと思っています。
――今の企業でこのまま頑張るべきか、それとも転職すべきか、迷う人も多いと思います。見極めポイントがあれば教えてください。
サラタメ:まず一番重要なのは、勢い・感情だけで判断しないこと。
恐怖・焦り・怒りは私たちの判断力を鈍らせますから、ネガティブな感情をモチベーションにして動いてしまうと、後悔する可能性が高くなります。
せっかくブラック企業から脱出したのに、次に入ったところがまたブラック企業だった……と、ブラック企業のエンドレスループに入りかねません。
そうなったら、本末転倒じゃないですか。
「転職するべき人」4つの見極めポイント
――どんな判断基準を持つといいでしょうか?
サラタメ:次の4つの見極めポイントに従って、じっくり頭の中を整理できるといいと思います。
1.パワハラ
2.やりがい
3.お金
4.ワークライフバランス
の4つです。
というのも、「会社を辞めたい」と思う理由は、大きく分けてこの4つに集約できるんですよ。
【チェックポイント1】パワハラ
サラタメ:まず、パワハラで悩んでいる、上司との関係性に悩んでいる、という人はまず、「個人が悪いのか? それとも会社全体が毒されているのか?」をはっきりさせるのがいいと思います。
――たしかに、パワハラの原因が明確になっていない人も多そうですね。
サラタメ:そうなんですよ。
でも、個人と組織のどちらに問題があるのかによって、とるべき対策は異なるので、必ず整理しておいたほうがいいですね。
たとえば、会社自体はホワイト企業で働きやすい雰囲気だけれども、運悪くパワハラ上司のもとで働くことになってしまった──という場合、辞めるべきなのは悩んでいる人ではなく、パワハラする側の上司なんです。
だから、わざわざその人のために転職するのではなく、パワハラを記録し人事に報告する、という選択肢がベストかもしれない。
本当にホワイトなよい会社なら、人事制度も整っていることが多いので、人事にいえば相手を異動させるなど、しかるべき対応をしてくれるはずです。
しかし、個人だけではなく、会社全体が毒されているなら、これはもう転職するしかありません。
パワハラする人が出世するような会社では、自分ひとり頑張ってもどうにもならないですからね。
パワハラされて辞める人が一定数出るのを見越して大量採用している会社の場合、ここでじっと耐えても同じ状況が続くだけですから、即転職活動を開始したほうがいいと思います。
――なるほど。チェックポイントの2つ目は何でしょうか?
【チェックポイント2】やりがい
サラタメ:「やりたい仕事をやらせてもらえない」「やりがいがない」といった理由で転職したい人が見極めるべきポイントは、「転職したら、やりがいのある仕事をやらせてもらえるのか?」です。
経験とスキルがなければその仕事ができるとは限りませんし、今、やりたい仕事ができていないからといって、転職しただけで本当に望む仕事を任せてもらえるかはわかりません。
その会社に転職すれば、確実にやりたい仕事をやらせてもらえる! という状況ならすぐに転職していいと思いますが、まずは「やりたい仕事に取り組むために、どんなステップを踏めばいいのか? 今の会社でできることは本当にないのか?」を確認するといいですね。。
【チェックポイント3】お金
――収入が上がる気配がないから転職したい! という人も多いですよね。3つ目のポイントは何でしょう?
サラタメ:ここで問うべきなのは、「今の業界から、別の業界に行く覚悟はあるか?」ということ。
正直な話、同じ業界に転職して、収入が大幅にアップすることって稀なんですよね。
個人のスキルよりも業界の収益構造のほうが、給料の上下への影響は圧倒的に大きいので。
――たしかに。業界自体が縮小し、そもそも顧客がいなければ、お金を払う人もいないですもんね……。
サラタメ:たとえば、飲食業界で働いてきた人がグッと収入を上げたい! と思って同じ飲食業界で転職しても、あまり変わらないことがほとんど。
むしろ、同じ業界なのにめちゃくちゃ給料が上がる! という案件には何かしら裏があることがほとんどなので、警戒したほうがいいですね。
収入に不満があって転職したいと考えた場合は、「儲かる業界に転職する覚悟はあるか?」と問いかけてみましょう。
【チェックポイント4】ワークライフバランス
――なるほど。4つ目のポイントは何でしょう?
サラタメ:最後に、ワークライフバランスに不満があるケースです。
休日がほとんどない、ずっと仕事のことばかり考えている……などですね。
――激務でしんどくて……というのもよく聞く話ですね。
サラタメ:この場合、
「健康を損なうレベルか?」
「激務の先で得られるものは自分にとってどれくらい大きいか?」
と、問いかけをしてみるのがいいと思います。
まず、うつ病など、健康に大きな問題が発生している場合は今すぐ辞めたほうがいい。
何か後遺症が残り、しばらく働けない時期が続いてしまったら、のちの人生に大きな損失をもたらす可能性があります。
人生100年時代ですから、長いスパンで考えられるといいですね。
けれど、もし健康面に問題がなく、たとえ激務だったとしてもその先で得られるものが大きいなら、やれるところまでやったほうがいいというのが私の持論です。
私自身も転職前、深夜まで働き、家にも帰れずカプセルホテルに泊まったり、休日出勤したり……と、キャパマックスまでハードワークしていた時期がありました。
ですが、20代のうちに限界までチャレンジしたことで、スキルや経験を得られました。
短期的にはコスパは悪かったかもしれませんが、結果的にその経験が転職活動にも役立っているので、長い目で見ればいい判断だったと思います。
さて、まとめると、次の4つのチェックポイントをもとに振り返ってみるのがおすすめです。
個人が悪いのか?
それとも会社全体が毒されているのか?
【チェックポイント2.やりがい】
転職したら、やりがいのある仕事をやらせてもらえるのか?
【チェックポイント3.お金】
今の業界から、別の儲かる業界に行く覚悟はあるか?
【チェックポイント4.ワークライフバランス】
健康を損なうレベルか?
激務の先に、得られるものは自分にとってどれくらい大きいか?
不安や恐怖が湧いてくると、つい焦ってとりあえず行動したくなってしまいますが、まずはいったん落ち着いて、今の会社を辞めて本当にいいのか、判断できるといいですね。