ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「アフリカ南部ってどんな地域?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

アフリカ南部ってどんな地域?

 アフリカ南部には、地図に示した10カ国、アンゴラザンビアマラウイモザンビークナミビアボツワナジンバブエ南アフリカレソトエスワティニがあります。

 これらの国々は、1992年設立の南部アフリカ開発共同体に加盟しています(ほかにインド洋の4つの島国などが加盟)。

 その前身は南部アフリカ開発調整会議(1980年設立)といい、当時のアパルトヘイト体制下の南アフリカ共和国から、経済的に自立することを目指していました。

「アフリカ南部ってどんな地域?」2分で学ぶ国際社会アフリカ南部

白人による支配が長く続いた国々

 現在のザンビアジンバブエは、帝国主義を推進した政治家セシル・ローズが侵略したイギリスの植民地で、当時は彼の名前にちなんでローデシアと呼ばれていました。

 この地域には高原が広がり、また、南部は温帯であるため、ヨーロッパ人が入植しやすい環境でした。

 彼らは先住民を労働力として鉱山や農園を経営するなどして、経済を支配しました。

 南アフリカ共和国の白人政権は自らの権益を守るため、アパルトヘイト政策を採り、国際的な非難を浴び、経済制裁を受けました。

 この地域の独立は、他の地域の国々よりも遅く、アンゴラモザンビークが1975年、ジンバブエが1980年、そしてナミビアは長い南アフリカ共和国の委任統治領時代から1990年になって、ようやく独立を勝ち取りました。

 国内の対立に加えて、諸外国の介入、南アフリカ共和国の白人政権が周辺諸国の独立に反対して介入したことも影響しました。

鉱産資源が豊富な地域

 この地域は鉱産資源が豊富で、早くから開発されたのが、南アフリカの金やダイヤモンドと、ザンビア北東部の銅です。

 ザンビアジンバブエ国境を流れるザンベジ川中流には、カリバダム建設でできた人造湖(カリバ湖)があり、ダムで発電された電力は銅の精錬に使われています。

 ダム上流には、イギリスの探検家リビングストンがイギリス女王にちなんで命名したヴィクトリアの滝があります。

 このほか、プラチナやウラン、リン、クロム、マンガンなどが採掘されています。

 とくに近年は、携帯電話などの電子機器部品の原料として欠かせないコバルトなどのレアメタルが注目されています。

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)