ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「モーリシャスってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

モーリシャスってどんな国?

 モーリシャスは、アフリカ大陸東部の沖合、マダガスカルのさらに東方に浮かぶ、インド洋の小さな島国です。

 16世紀以前には人間は居住しておらず、16世紀にポルトガル人が上陸、以後インド洋貿易の中継地となりました。

 当時の島の主役はドードーという飛べない鳥。発見されてからわずか100年、1681年に絶滅してしまいました。それでも美しい自然が残されています。

 この国はアフリカの中では経済の優等生です。一人当たりの国民所得は1万米ドルを超えています。政治的にも安定しており、経済の自由度指数では日本より上位に位置しています。

インド洋の貴婦人と呼ばれるリゾート

 経済の柱は砂糖産業、輸出加工区の製造業、観光業です。この国には2つの世界遺産がありますが、いずれも砂糖産業とかかわっています。ル・モーンの文化的景観は奴隷たちの隠れ場だった場所であり、アープラヴァシ・ガートは労働力としてインド人移民を受け入れた施設跡です。

 独立後、モノカルチャー経済から脱却するため、輸出加工区が設置され、繊維産業などが発達しました。また、美しいビーチは欧米人をひきつけ、インド洋の貴婦人と呼ばれるほど、世界的に有名なリゾートになっています。

 日本にとっては、遠洋漁業の中継基地として重要です。マグロの重要な仕入先になっています。2020年、沖合でわかしお座礁石油流出事故が発生、その影響が懸念されています。

モーリシャス共和国

面積:2040km2 首都:ポートルイス
人口:138.6万 通貨:モーリシャス・ルピー
言語:英語(公用語)、フランス語系クレオール語など
宗教:ヒンドゥー教48.5%、キリスト教26.3%、イスラーム17.3%

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)