ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「レソトってどんな国?」2分で学ぶ国際社会アフリカ南部

レソトってどんな国?

 レソトはアフリカ大陸南部に位置し、四方を南アフリカに囲まれた内陸国です。

 全土がドラケンスバーグ山脈の山中にあり、標高は1400m以上にも達します。「天空の王国」や「アフリカのスイス」などと呼ばれています。

 東端には、アフリカ南部の最高峰タバナントレニャナ山(3482m)があります。

 国土の北東部から南西に向かって、オレンジ川が深い谷を刻んで流れています。落差が192mもあるマツレニャーネ滝がまっすぐ落ちる景観も見られます。

 西部は標高が低く、起伏も比較的緩やかで、国民のほとんどはこの地域で暮らしています。ここに首都マセルもあり、国境のモホケア川対岸は南アフリカ共和国です。

 気候は温帯で、マセルの平均気温は15.1℃です。パソト・ハットと呼ばれる三角形の麦わら帽子は国の象徴で、国旗にも描かれています。

アフリカでは数少ない立憲君主制の国

 サン人と呼ばれる先住民が居住していましたが、16世紀にソト人が入って、この地を支配するようになりました。

 19世紀、オランダ系のボーア人からの侵攻が激しくなり、1868年にイギリスの保護領になりました。

 1966年にイギリスから独立した後は、国王の亡命やクーデターなど政治的混乱が続きました。

 現在、国王は政治的権力を持っておらず、国民統合の象徴という存在です。アフリカでは数少ない立憲君主制国家です。

 識字率は9割を超えています。しかし、これといった産業はなく、多くの労働者が南アフリカの鉱山に出稼ぎに行くなど、経済は同国に大きく依存しています。

「レソトってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

レソト王国

面積:3万km2 首都:マセル
人口:214.2万 通貨:ロチ
言語:ソト語(公用語)、英語(公用語)
宗教:キリスト教91%
隣接:南アフリカ

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)