ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
コモロ連合ってどんな国?
コモロは、アフリカ大陸東の沖合、マダガスカル島の北に位置し、インド洋に浮かぶ3つの島(グランドコモロ島、アンジュアン島、モヘリ島)から成る島嶼国です。
この3島とマヨット島をあわせた4つの島は、19世紀後半からフランスの保護領でしたが、1975年に4島まとめて独立を宣言しました。現在でも、コモロはマヨット島の領有を主張していますが、フランスの海外県となっています。
在外コモロ人からの送金に頼る経済
小さな島国で天然資源に乏しく、産業も脆弱なため世界最貧国の一つとなっています。
この国の経済を支えているのは海外からの送金です。1960年代フランスの高度経済成長期に、多くのコモロ人がフランスに移住しました。フランスの港町マルセイユには多くのコモロ人が居住しており、コモロ最大の都市ともいわれます。
農業は発達しているとはいえませんが、バニラビーンズやクローブ、イランイランなどの栽培が行われており、香料が主要な輸出品となっています。とくに、香水の原料として重宝されているイランイラン精油の約30%がこの国の製品だといわれています。
シーラカンスが生息
コモロ近海では「生きた化石」といわれるシーラカンスの生息が確認されています。
1982年、魚類学者の末広恭雄博士らがコモロに入国して調査をしました。その時に捕獲した標本は、沼津港深海水族館に展示されています。
コモロ連合
面積:2235km2 首都:モロニ
人口:86.4万 通貨:コモロ・フラン
言語:コモロ語(公用語)、アラビア語(公用語)、フランス語(公用語)
宗教:イスラームスンニ派98%
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)