8月末に「週刊新潮」が報じた、俳優・香川照之の3年前の「性暴力」事件。当初は擁護の声も多かったものの、続報が出たあと、番組やCMの降板が相次いで報道されている。しかしそれでもなお、芸能人や著名人らによる「香川擁護」は収まらない。いったい彼らはなぜ、この問題に一言物申したくなってしまうのか。(フリーライター 鎌田和歌)
芸能人・著名人男性が次々に香川を擁護
「銀座高級クラブでワイセツの裁判記録」ーー。9月1日号(8月24日発売号)の「週刊新潮」はこんな見出しで俳優・香川照之の過去の事件を報じた。
2019年7月、銀座のクラブを訪れた香川が、同席したホステスの女性の服の中に手を入れて下着を剥ぎ取り、同行者と一緒に下着の匂いをかいだ…などと報じられている。
これが明らかになったのは、女性がこの行為を止めなかったクラブのママの責任を問い、民事訴訟で訴えたからだ。週刊新潮はその記録を入手している。ただし、その後、この訴訟は取り下げられている。
報道の翌日、香川の事務所は事実を認め、謝罪するコメントを発表した。芸能人らの性暴力が報道された場合、「加害者」側は報道を否定したり、逆に「被害者」を訴える姿勢を見せることもある。香川の場合はそうではなく、事実をすぐに認めたことで、女性への二次加害を一定程度は抑える効果があっただろう。
しかしネット上では、「3年も前のことをなんで今さら」「当事者間で話がついているんだからいいだろう」といった内容の書き込みも見られた。「週刊新潮」の記事では、被害に遭った女性のコメントはなく、女性が告発したのかどうかはわからない。にもかかわらず、推測で「金目当て」などと書き立てるネット世論は二次加害でしかないだろう。
報道の翌々日には、自身が司会を務める情報番組の中で香川本人が謝罪。一時は番組やCMの降板もなく終わるのかと思われたが、「週刊新潮」は続報として、クラブのママの髪を後ろからつかんで笑みを浮かべる香川の写真を掲載した。
この写真のインパクトが大きかったせいなのか、この後、9月に入ってからは情報番組やCM、ドラマの降板が相次いで報じられた。
こうなってくると逆に増えるのが、擁護の意見だ。特に芸能人や著名人の男性らが、香川をあの手この手の論法で擁護する様子が見られる。女の敵は女ならぬ、男の擁護は男といったところだ。
どのような「擁護」「援護」の声が上がっているのかを見ていこう。