女優の小雪が、韓国の「産後院」で出産したことが話題になっている。
日本では出産すると4~5日程度で退院し、その後は育児をしながら実家や自宅などで療養するのが一般的だ。だが、韓国では、出産後2週間~1ヵ月程度は、専門的な医療スタッフのケアを受けられる「産後院」でゆっくり養生するスタイルが、妊産婦たちの間で人気になっているという。
『女性自身』2月5日号(光文社)によれば、小雪が利用した産後院の入院費用は2週間で約100万円(最高級の個室の場合)。医療的なケアの他にも、赤ちゃんのお世話、体型を戻すためのエステなども用意されており、施設や食事は高級ホテル並み。同施設には、こうしたサービスを求める韓国セレブのほか、中国の富裕層など海外からわざわざ出産しにくる外国人も増えているという。
このように、その国独自の医療サービスや高度な医療技術を求めて海外に出かける医療ツーリズムは、年々、増加傾向にある。2006年に600億ドルだった市場規模は、2012年には1000億ドルに上ると推計されており、世界でも注目を集めている。
日本でも、中国やロシアなどの富裕層を見込んだ2020年の医療ツーリズムの潜在的需要は、「年間43万人、市場規模は5507億円」といった推計が出されている。そのため、医療分野での経済成長を期待する一部の医療関係者や自治体などからは、外国人患者を呼び込むための規制緩和が求められ、民主党政権下で少しずつ医療ツーリズム受け入れの環境整備が始まっていた。
ただし、日本では医療分野への民間参入には一定の規制が設けられているため、韓国のように医療ツーリズムは増えていない。だが、昨年12月の衆院選挙で政権に返り咲いた安倍・自民党が、医療技術の産業化や海外展開を重視していることから、再び医療ツーリズムへの期待が高まりつつあるようだ。そこで今回は、改めて医療ツーリズムが日本の経済に与える影響を考えてみたい。