米企業のCFO(最高財務責任者)が年間業績予想の作成に一段と苦労している。国内経済の方向性がはっきりしないため、予想範囲を拡大したり、支出計画を見直す頻度を多くしたりしている。
CFOは年間業績予想を通じて企業の健康状態に関する手掛かりを示す。だが、米経済が強弱まちまちなシグナルを発しているため、投資家は企業の財務悪化を示唆する微妙な変化がないか注視している。
金融情報サービス会社カルクベンチによると、S&P500種指数の構成企業のうち、4-6月期に売上高と1株利益(EPS)の年間予想を修正したのは129社で、前年同期から50%増えた。そのうち上方修正したのは56社で、前年同期の63社を下回った。残りの73社は下方修正か予想範囲を縮小した企業、あるいは売上高とEPSをそれぞれ異なる方向に修正した企業だった。
フィラデルフィアに本拠を置く殺虫剤・除草剤メーカー、FMCコーポレーションのアンドリュー・サンディファーCFOによると、同社は新型コロナウイルス禍関連の混乱や地政学的紛争などの不確実要因を考慮して業績予想範囲を過去数年よりも拡大した。例えば、ロシア・ウクライナ戦争は以前の業績予想に含まれていなかった。同社はロシア事業の停止を決めたため、年間EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が2500万ドル下振れする見通しだ。
それでも同社は8月、4-6月期(第2四半期)決算の発表に合わせて年間売上高予想の中央値を56億ドルとし、1-3月期(第1四半期)末時点の54億ドルから引き上げた。