2015年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの神様』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。
悩みを持つ人がやっていること
3人の方から、相談を受けました。
「2年間、就職活動をしているのですが、まったく採用されません。どうしたらいいでしょうか?」という30代男性。
「早く結婚したいのですが、どうしたらいいでしょうか?」という30代女性。
「末期ガンで余命3ヵ月なのですが、どうしたらいいでしょうか?」という50代女性。
この3つの質問に対して、私は、同じ回答をしました。
「今、『自分がどういう状況に置かれているのか』について感想を持つ必要はないし、評価論評はいりません。今、自分がやるべきことは、自分の目の前にいる人を大事にすることです。やるべきことがあったら、それをやればいい。結婚も就職も死も、今、自分の目の前にないのだから、考えなくてよいのではありませんか」
「どれだけの人に喜んでもらえるか」が大切
ガンであと3ヵ月の命なら、それをどうやって半年、1年と延ばそうかを考えるのではなく、3ヵ月の間に「どれだけの人に喜んでもらえるか」をひたすら考えればいい。「3ヵ月後に死ぬ」ことに、関心を持たなくていいのです。
日々の一瞬一瞬を楽しんで生きていれば、余命がどれくらいあろうと、関係がありません。
「結婚すること」ばかり考えている人には、誰も結婚を申し込みません。結婚のことしか考えていないので、目の前の人、こと、ものを大事にしていないからです。
結婚相手であろうと、なかろうと、目の前にいるすべての人に対して、「自分のできること」を一所懸命やっていたら、必ず誰かの目にとまるはずです。
2年間、無職の男性は、「自分に合った仕事がわからない。どんな仕事を選べばいいのか?」と言い続けていましたが、仮に私が社長でも、彼を採用することはなかったでしょう。
なぜなら彼は、「まったく笑わない」し、「無表情」だし、「自分から話しかけない」からです。
もし彼が、笑顔で挨拶をして、みんなにおもしろい話をして、目の前のやるべきことをやっていたら、彼に興味を持つ経営者が雇ってくれたかもしれません。
私たちは、過去のことも、未来のことも考える必要はありません。私たちの人生は、3秒前も、2秒前も、1秒前も過去です。この瞬間だけが「今」です。
だとすれば、過ぎてしまった過去について考える必要がありません。
また、「明日」という日は、永遠に訪れません。一晩寝て、起きたら「今日」です。
念を入れて生きる
「念」という文字は、「今」の「心」と書きます。
「念」とは、今、目の前にいる人、目の前にあることを大事にする心のことです。
「過去」を悔やむことはなく、「未来」を心配することもなく、「念を入れて生きる」。「念」を入れた生き方は、必ず「未来」につながっていくでしょう。
今、目の前にいる人を大事にする、目の前にやるべきことがあったら、ただ、ひたすら大事にやっていく……。私たちにできることは、ただ、それだけのようです。