2015年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの神様』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。
「50%対50%」ならどちらをとってもいい
多くの人は、「悩み」や「苦しみ」を抱えています。
「悩み」や「苦しみ」を突き詰めていくと、本質的には「迷い(選択できない)」であることがわかります。
2つの選択肢が「51%対49%」なら「51%」のほうを、「52%対48%」なら「52%」のほうを選べばいい。
どれほど差が小さくても、「大きいほう」を選べば、自分の望みに近くなります。
ところが、「50%対50%」のときは、どちらにしていいか決めかねて迷い、結論が出せなくなります。だから、悩みます。
ヨーロッパの羊の寓話
「ヨーロッパの牧場で、羊が1匹、山小屋で餓死をした」という寓話があります。
餓死といっても、餌がなかったわけではありません。山小屋の入口には、干し草がたくさん積まれていました。
入口の右側には、「大好きな干し草が少しだけ」あり、左側には「あまり好きではない干し草が、たくさん」あったそうです。
では、どうして羊は、餓死したのでしょうか。
「どちらを食べればいいか、選択できなかった(=迷ってしまった)」からです。
羊は、こう考えました。
「右側のおいしい干し草を食べても、量が少ないから、お腹はいっぱいにならないかもしれない。左側にある干し草を食べればお腹はいっぱいになるけれど、おいしくない。はじめに右側の干し草を食べても、そのあとで左側の干し草を食べたら、もっとまずく感じるだろう……」
羊にとって、右側の干し草も、左側の干し草も、「50%対50%」の価値だったから、迷ったのです。
でも見方を変えれば、「50%対50%」は、自分にとってどちらも同じ重さ(価値)のはずです。だとすれば、「どちらを選んでもいい」ことになります。
右側の干し草も左側の干し草も同じ価値なのだから、餓死するくらいなら、どちらを食べてもよかったのです。
「どちらを選ぶか?」で悩まない
AとB、どちらを選ぶかで迷ったとき、その2つが自分にとって同じ価値なら、コインを投げてみればいい。表が出たらA、裏が出たらBにすればいいのです。
コインを投げる前に、「Aになるのはいいけれど、Bになるのはちょっと……」と思ったとしたら、答えは出ています。「AのほうがBよりも重い」証拠なので、Aを選べばいい。
人間の悩みは、「迷い」から生じています。私たちも「山小屋で餓死した羊」と同じようなことで、悩み苦しんでいるのかもしれません。
「51%対49%なら、51%をとる。50%対50%なら、どちらをとってもいい」
そのことがわかっていれば、「どちらを選ぶか?」で悩むことはなくなります。