高橋泰・国際医療福祉大学大学院教授高橋泰・国際医療福祉大学大学院教授

この夏、国際医療福祉大学大学院の高橋泰教授は、公開データを使って、日本の新型コロナ感染拡大についての総括を行った。その結果、これまで出現してきた変異株ごとによる重症化率と死亡率などがわかった。オミクロンBA5の感染力や怖さを今どう理解すべきなのか、今後はどんな未来が考えられるのか、高橋教授に話を聞いた。前編・後編の2回に分けてお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

各変異株によって異なる日本への影響

――高橋教授は、日本の新型コロナ感染拡大についての総括をまとめていらっしゃいます(「ウイルス株の特性と年齢階級の影響を考慮した新型コロナの総括」として専門誌にレポートを執筆)。なぜ今のタイミングで総括しようと思われたのでしょうか?

 今のタイミングで総括しようと思ったのは、公開データを用いて各変異株の日本でのPCR陽性者数と死亡者数を概算できること、またこの人数を70歳以上と70歳未満に分けて算出できることに今年の4月頃に気付いたことが大きいですね。

 日本では図1に示すように、およそ半年周期で変異株が入れ替わっています。厚生労働省が発表する「週報」に合わせ、「株の期間」と「週報」のデータを結び付けると、各主要な株のPCR陽性者数(≒感染者数)と死亡者数を概算することができます。