人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。
しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40~49歳のがん患者数は、30~39歳と比べると3倍以上です(2018年)。もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。
本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。「予防医学ch/医師監修」の管理人でもあり、動画は「わかりやすい説明で参考になる」「怖いけど面白い」と評判で、チャンネル登録者は27万人を超えています。初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版し、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せています。本日は、コロナと薬についての寄稿記事です。

コロナになったら「風邪薬」を処方される理由Photo: Adobe Stock

コロナになったら、どんな薬をもらうの?

 2022年8月11日山の日、猛暑の第7波の真っただ中で、感染者が全国で25万人を突破したという厳しいニュースが流れてきました。もはや、知人や家族がコロナに感染していても誰も驚かない状況になってしまいましたね。

 現状は医療機関の発熱外来も予約が殺到してほとんど受診できず、街のクリニックはパンクしています。

 私も受診ができなかった方を対象にオンライン診療で朝から深夜までコロナ対応をしていますが、「近所のクリニックは何度電話をかけても全く電話が繋がらなかった」という声を多く耳にします。

 しかし、そもそも全ての人が医療機関を受診しなければいけないのか、というと必ずしもそうではありません。

 新型コロナに「かからない」ための予防接種や感染対策が重要なのは当たり前ですが、この状況下ではさらに「かかった後」、「医療機関体制がパンクしている状況で」どのように行動したら良いのか全国民が知っておいた方が良いと言っても過言ではないでしょう。

 本日は新型コロナにかかってしまった後の行動の仕方について、要点をまとめたいと思います。

 まず基本的に、コロナで受診した方に対して処方される薬は、高齢である、基礎疾患がある等の重症化リスクのある場合を除き、多くの場合「風邪薬」です。

 例えば、2021年12月に薬事承認された「ラゲブリオ」など、コロナに対する内服薬は存在しているのですが、現状の臨床データが重症化リスクのある方を対象にしたものであること、軽症の方はこれらの薬がなくとも治癒することが多いことなどから、処方される場合は重症化リスクのある患者さんに限ります。またこれらの飲み薬は安定的な供給が見込めていない現状もあります。

 要するに、若くて持病のない人にとってはこういった飲み薬は処方されないので、必然的に症状を抑える「対症薬」と呼ばれる、いわゆる風邪薬を処方することしかできないのです。

 では、どのような判断基準で薬の処方は決まるのでしょうか?