子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。
イギリスでは必修科目にもなっている「演劇」
日本では、演劇というと「文化部の代表」「地味」「個性的な人の集まり」など、あまりポジティブな印象がないかもしれません。
ところがイギリスでは、演劇が必修科目になっている学校が多くあります。
課外活動としても人気が高く、ほとんどの子どもは社会に出る前に、大なり小なり演劇を経験しています。
また、アメリカでも演劇部(「シアター」や「ドラマ」と呼ばれる)は運動部と並んで人気が高い課外活動です。
中学・高校では演劇部に入部するためのオーディションがあり、数少ない役をめぐって熾烈な戦いが繰り広げられます。
演劇が教育の場で人気なのは、コミュニケーション力を高めてくれるからです。
人前で堂々と話す技術、表情、身ぶり手ぶりを使って意思疎通する方法、相手に伝わりやすい発声・発音の方法、相手に親しみを与える話術など、コミュニケーションスキルのすべてが演劇を通して身につくのです。
日本でも、兵庫県の豊岡市では市内のすべての小中学校で演劇を用いた「コミュニケーション教育」を導入しています。
演劇経験者は、英語の習得が早い
もう一つ演劇の利点として、演劇経験者は「英語習得が早い」という特徴があります。
私は日米で25年以上英語を教えていますが、稀に英語を超特急で身につける人に出会うことがあります。
そんな人の多くは、不思議なことに「演劇経験者」なのです。
たとえば、両親は日本人、生まれも育ちも日本、留学経験なし。ごく普通の日本の女の子ですが、中学1年生で英検1級に合格した子がいました。
この子は、小学生の時から大人に交ざって劇団で演劇を練習していたそうです。
台詞を覚える力、話し方・表情・しぐさをマネる力、効果的に表現する力、明瞭な発声方法など、演劇で培った力は英語習得にも活かされます。
習い事の選択肢の一つに入れてみてもいいかもしれません。