この20年で時代は大きく変わったが、今後20年の変化は、その比ではない。思いもよらない変化が次々と起きるこれからの社会では、「たくましさ」、「地頭のよさ」、「社交性」が常に求められるのだ。「世界標準の子育て」では、4000名のグローバル人材を輩出してきた著者が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を紹介していく。
「シャイな子」は日本人だけ極端に多い
日本人の子どもに多いのが「シャイ/恥ずかしがり屋」な性格です。
「うちの子はシャイだからあいさつができないんです」「うちの子はシャイだから友だちができないんです」「うちの子はシャイだからしゃべらないんです」「うちの子はシャイだから人見知りが激しいんです」……このような相談をよく受けます。
「シャイな子ども」は、欧米ではあまり見られません。初対面の相手でも、大人相手でも、笑顔で「ハロー」と気さくにあいさつできる子どもがほとんどです。
中国人や韓国人の子どもも同様で、日本人ほどシャイということはめったにありません。
では、なぜ日本人にシャイな子どもが多いのでしょうか。遺伝や文化の問題なのでしょうか?
結論から言えば、臆病な子、人見知りが激しい子、母子分離できない子に共通するのは、親から愛され、受け入れられているという「実感不足」です。
愛されているという実感が足りないと、子どもは環境の変化を過剰に怖がるようになります。
家庭から外の世界に出る、家族とは違う人と出会う。子どもが社会への一歩を踏み出す時は「自信」が必要です。
「親が見守ってくれるから大丈夫」と確信している子どもは「不安」よりも「自信」が大きいので怖がらずに行動できるのです。
「愛情のすれ違い」が臆病な性格の原因
人間は生まれながらに「愛されたい欲求」を持っています。自分は親から愛され受け入れられていると「実感したい」のです。
お母さんに「ママ抱っこ!」と小さな子どもが言うのは「愛情を確認するため」です。この時「◯◯ちゃんはかわいいね、大好き!」と言って、ハグをして頬ずりやキスをしてあげれば「ママは自分を愛してるんだ!」と子どもは実感できるのです。
「愛されたい欲求」を満たされて育った子は「親はボクを愛している」「親は私を受け入れている」と確信できます。
確信があるから安心して親から離れ、知らない場所に行っても、見知らぬ人と会っても、堂々とふるまえます。
もちろん、親御さんはみなさん「子どものことは十分に愛している」「あふれるほど愛情を注いでいる」と思っています。
しかし、日本人の場合は足りないことが多いのです。親は十分だと思っていても、子どもには不十分であるケースがほとんどです。この「愛情のすれ違い」に一刻も早く気づかねばなりません。
愛情あふれる目で子どもを見つめて「愛しているよ」とメッセージを送っても、子どもは愛情をまったく実感することができません。言葉で「◯◯ちゃんを愛しているよ」と100回伝えたとしても、不十分です。
もっとも重要なのが「スキンシップ」で、「肌と肌のふれあい」が親の愛情を効果的に伝える手段なのです。
「ママ(パパ)抱っこ!」と甘えてきた時がチャンスで、ギュッと抱きしめて「かわいい◯◯ちゃんが大好きだよ!」とベタベタしましょう。
このように親がしつこくベタベタしていると、そのうち子どもが「もうやめてー!」と逃げていくようになります。
子どもが親にまとわりつくのでなく、親が子どもにまとわりつくくらいのバランスが、愛情を実感させるにはちょうどいいのです。