この20年で時代は大きく変わったが、今後20年の変化は、その比ではない。思いもよらない変化が次々と起きるこれからの社会では、「たくましさ」、「地頭のよさ」、「社交性」が常に求められるのだ。「世界標準の子育て」では、4000名のグローバル人材を輩出してきた著者が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を紹介していく。
「がまんできてえらいね!」は逆効果
アメリカ人の子育てで特徴的なのが「褒める」ことです。
Good job!(よくできたね)、I'm proud of you!(誇りに思うよ)など、日本人からすると「ちょっと大げさ過ぎるのでは?」というほど子どもをよく褒めます。
科学的な検証が進んだこともあり、最近は日本でも「褒める子育て」が定着してきているようです。
ただし、日本人が形だけアメリカをマネて子どもを「えらいね」と褒めていると、ちょっとちぐはぐなことになるのです。
というのも、アメリカ人の子育ては「自立心を育てる」目的が根底にあります。だから子どもを褒める時は「一人でできてすごいね!」「人の手を借りないでできたね!」という「自立への賞賛」の気持ちが込められているのです。
アメリカ人は「自分の意思で行動できた→褒める=自立を促す」なのです。
一方、日本人の子育ては「協調性のある子に育てる」「行儀のいい子に育てる」という「しつけ」目的が根底にあります。
だから子どもを褒める時も「言うことを聞けてえらいね」「がまんできてえらいね」というように、「指示やルールに従えたこと」を褒めるケースが多いのです。
日本人は「言うことを聞けた→褒める=従順を促す」です。
子どもは褒められると嬉しいですから「次も言うことを聞こう!」と努力します。
子どもが親の言うことを聞いて大人しくすることは親にとっては「都合がいいこと」ですが、肝心の自立心が育ちません。すると、もっとも重要な子どもの自信が育たないのです。
自分で着替えができた、自分で靴が履けた、自分で絵が描けた、自分で顔を洗えた、自分で歯が磨けた、そんな子どもの小さな成長を見つけた時には「自分でできたね!」「すごいね!」ともっと大げさに褒めてあげてください。
子どもは自分の意思で挑戦したこと、自分のやる気でチャレンジしたことを周囲から褒められるたびに自信が大きくなるのです。
子どもはよく「ママ(パパ)見て!」と言いますが、これは小さな達成を褒めてもらいたいのです。
もちろん、単に親の気を引きたい場合もありますが、小さな達成を見逃さずに「すごい! 自分でできたね!」と褒めてあげるのが親の大切な仕事です。
成長を認められ、褒められて育つと、自発的な「やる気」も強くなり、勉強も習い事も意欲を持ってチャレンジするようになります。
子どもの成長を褒める機会を増やしたければ、子どもの意思を尊重して、やりたいことをやらせてあげればいいのです。