ただ話すだけなのに「頑張る」「疲れる」「気を使う」……。日々のコミュニケーションで苦戦苦闘している日々よ、さようなら。これからは、説得しようと力業で勝負する必要はありません。自ら動くのではなく、相手に動いてもらい、自分の思い通りの結果に導けばいいのです。
それを可能にしたのが、大久保雅士著『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』だ。「トップセールス」の実績を持つ「メンタリズム日本一」が生んだ至極のコミュニケーションスキルが詰まった一冊。本書より、徹底的に磨かれたノウハウを一部抜粋し、「口下手で人付き合いが苦手」な人でも今日からすぐできる方法を紹介する。

【これがNo.1】トップセールス×メンタリズム=最強のコミュニケーションスキルPhoto: Adobe Stock

短時間で相手の心をつかみ、好意を手に入れる

 私は約10年間、保険営業でトップセールスとして走り抜け、2016年にメンタリズム日本一になりました。トップセールスとしてのコミュニケーションスキルと、プロのメンタリストとしての心理術を融合したノウハウを、年間100回以上の講演・研修で伝えながら、1万人以上に指導してきました。

 受講する方の多くは、「お客様との会話をうまく続ける自信がない」「社内コミュニケーションに苦戦している」など、悩みを抱えています。

 経営者や管理職の方は、「部下がうまく動いてくれない」「コミュニケーションがうまく取れない」と悩み、現場は「上司や先輩と、どうやって交流していいのかがわからない」と悩んでいるのです。

 苦手意識を感じる原因は明らかで、相手の心をつかめていないからです。ですから、

「ノウハウを身につけて、苦手意識をなくす」

「相手の心をつかみ、コミュニケーションをうまく取る」

「ストレスゼロになり、人から好かれる」

 という好循環に変えていけばいいのです。

 かくいう私も、かつては口ベタで人付き合いが苦手であり、自己肯定感が低いコミュニケーション弱者でした。そういう人は「人の目」を気にしており、相手の立場に立って物事を考えられる他人本位の精神を持っています。

 本書で紹介するノウハウは、他人本位の精神を基に言語化・体系化したものです。本書を手に取っていただいた方の中には、「口ベタで人付き合いが苦手」という方がいることでしょう。そんな人ほど、メンタリズムから学べる心理術を活かしていただきたいのです。

人の心をつかむには「8秒」かかる

「メンタリストなら一瞬で相手の心をつかめるのでは?」と聞かれることもあるのですが、一瞬で人の心をつかむことはできません。できたとしても、「注意」を引く程度です。

 街で面白い広告に目が行っても、すぐに「欲しい」とはなりません。道端で美男美女に目を奪われても、すぐに「好きだ」とはなりません。

 人の心をつかむには少し時間がかかるのです。だからといって、ダラダラ時間をかけても人の心はつかめません。人間の集中力には限界があります。

 ちなみに、金魚の集中力は「9秒」しか続かないとされています。

 では、人間の集中力はどのくらい続くと思いますか? 正解はなんと「8秒」。金魚より短いのです。

 このデータは、マイクロソフトのカナダの研究チームが2015年5月に実際に発表したものです。約2000人の参加者の脳波などを測定した結果で、2000年は12秒だった人の集中力の持続時間が、2013年には8秒まで短くなってしまったそうです。

 また、「8.2秒の法則」をご存じでしょうか?

 初めて対面した人やモノなどに好意を感じるまでの平均時間を計測したところ、8.2秒だった実験結果から、「人は8秒間見つめると好意を持つ」といわれているのです。人間の集中力をフルに使うことができれば、短い時間でも相手の心をつかみ、好意を手に入れることができるのです。

 心をつかむにも、人間の集中力は「8秒」。短い時間で行なわなければなりません。

 こんな短い時間の中で心をつかむには、力業ではいけません。街の広告に「買ってください!」と書いてあっても、すれ違う相手に「食事に行きませんか?」と誘っても、どちらもうまくいかないでしょう。それでは警戒されて終わりです。

 極端な例かもしれませんが、こんな力任せのコミュニケーションをしてしまっている人が多くいるのです。

 メンタリストは力業ではなく、相手の力をうまく利用します。相手が思わず興味を抱き、気になってしまう仕掛けをして、相手が自ら動くように仕向けるのです。

(本原稿は、日々のコミュニケーションがラクになる36のノウハウが詰まった書籍『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』から一部抜粋、編集したものです)