円安、物価上昇は止まらない
実質賃金低下のもと値上げラッシュ
円安の進行が急激だ。
9月6日に円ドルレートが1ドル=144円を突破した。この1カ月強で10円下落し、115円台だった今年3月からは約半年間で30円も下落したことになる。
コロナ禍に伴うサプライチェーンの寸断とロシアによるウクライナ侵略が資源価格などの高騰をもたらしているなかで、この急激な円安がさらに輸入物価を押し上げて、企業物価、そして消費者物価を上昇させている。
すでに7月で消費者物価上昇率は総合指数で2.6%。生鮮食品を除くコア指数は2.4%まで上がっている。そのため4カ月連続で実質賃金が低下している。
帝国データバンクの食品主要105社に対する値上げ調査(9月1日時点)によれば、年内の値上げが2万品目を超え、9月だけで2424品目、10月には6532品目の値上げが予定されている。賃金低下の中で値上げラッシュだ。
政府は為替介入をにおわせる動きを見せるが、日銀単独の円買いドル売りの介入には限界があり、アベノミクスに従った政策を改めない限り「日本売り」は止まらず、状況は悪化するばかりだ。