武田薬品やアステラス製薬がここ数年間で大量のリストラを行ったことで、“製薬エリート”が続々と放逐された。武田は10年代半ばから研究開発部門を手始めに、ビジネス部門や一般管理部門でクビ切りを断行。辞めた元社員がベンチャーを立ち上げたり、同業他社の役員に就いたりする事例が相次ぐ。今年7月にもアストラゼネカの日本法人社長に、武田で日本オンコロジー事業部長を務めた堀井貴史氏が就任して話題をさらった。
一方、国内第2位のアステラスは2014年から断続的に人員整理を実施。優秀な社員が次々と社外に流れた。外資系後発品企業のサンドでは20年4月、アステラス出身の岩本紳吾氏を社長に選出。岩本氏はアステラスで東南アジア事業本部次長などを経験し、長期収載品を扱うアスペンジャパンで社長に就いていたが、サンドがアスペンを買収したのに伴い引き続きトップを任された。いずれも大企業に見切りをつけて社長になった好事例だ。しかし、両社とも「華麗なる転身」ばかりではない。研究者は「期待はずれ」と落胆され、製薬業界全体で削減が進むMRは再就職が難しい事例も少なくない。